290 生活習慣病に対応した歩行法

ウォーキングは生活習慣病に対応する運動療法の基本となっていますが、それぞれの生活習慣病によって効果が得られる歩行法があります。
ウォーキングを始めたときには平常時に比べると多くのエネルギーを、すぐに作らなければならないため、燃焼しやすいブドウ糖が先に使われます。ブドウ糖が中心になって燃焼するのは10分ほどです。このことから血糖値を下げるためには、10分間のウォーキングを何度か繰り返す方法がすすめられます。血糖値が高めの人は筋肉をつけるための強化運動も指導されることが多く、歩幅を広くした勢いのよい歩行は筋肉強化にも役立ちます。
血液中の中性脂肪が多い場合には10~15分を超える有酸素運動が必要で、30分以上のウォーキングがすすめられます。内臓脂肪がエネルギーとして使われやすいのは全力で運動をしたときの50~60%の負荷がかかった状態で、歩くスピードとしてはスタスタと腕を前後に大きく振りながら、歩幅も広くする歩き方が有効です。
LDLコレステロール値が高い人は、有酸素運動によってHDLコレステロールを増やすことでLDLコレステロールを減らすことができます。歩行数が8000歩を超えるとHDLコレステロール値が顕著に増えています。
肝機能の強化には有酸素運動が有効で、毎日20分以上、心拍数が「(200-年齢)×60~70%」の強度でのウォーキングがすすめられます。身体的な負荷を増やすためには中強度のウォーキングである速歩を取り入れ、早く歩きにくい身体状況にある場合には2本のポールを使って歩行するノルディックスタイルのウォーキングを採用するようにします。