体質改善

三大ヒトケミカルの有効性が知られるようになってから、これを効果のあるサプリメントとする製造方法が各社によって開発されました。サプリメントの素材として有効性が確認されていても、体内の消化と吸収の仕組みに合わなければ有効性を引き出すことはできません。また、サプリメント素材は、その特性に合わせて空腹時に摂るべきものと食後に摂るべきものに大きく分かれています。
空腹時に摂るべきものは胃液によって分解されやすいものであり、食べたものによって吸収が阻害されることもあります。食後に摂るものは食品に含まれる脂肪や食事によって分泌される胆汁によって吸収性が高まるものもあります。
こういった仕組みと合っていないと、せっかくの成分が充分に吸収されなくなり、期待するだけの効果が得られないことになります。それと同じことが三大ヒトケミカルにおいてもあり、使用しても長く続かないという結果になっていました。
L‐カルニチンは水溶性であり、吸収されやすい成分ではあるために、ほとんどの製品に含まれているL‐カルニチンは吸収されやすいと言えます。しかし、L‐カルニチンは肉類に含まれる成分であることからたんぱく質と相性がよく、たんぱく質が多く含まれる食品と一緒に摂ることで吸収率が高まることが確認されています。そのため、食事の後に摂ることがすすめられます。
これに対して、α‐リポ酸とコエンザイムQ10は、製品の加工法によって吸収性が異なるばかりか、安全性にも問題性が起こることが指摘されています。
α‐リポ酸のうち体内で補酵素として利用されているのはR体のα‐リポ酸となっているため、サプリメントとして摂って効果があるのはR体となっています。しかし、R‐αリポ酸は安定性が低く、空気、熱、光などによって分解されやすくなっています。また、強酸性の胃酸によって分解されやすいという難点があります。そこで市販されている多くのα‐リポ酸を含むサプリメント製品は天然型のR体と非天然型のS体の混合物(50%ずつの等量)のラセミ体にして、分解されにくくしたものが使われています。S体は体内では作用しないので、年齢とともに減っていくα‐リポ酸は天然のR体であるので、これでは半分しか吸収されないことになるわけですが、問題はそれだけではありません。
天然型のR‐αリポ酸は厚生労働省に医薬品だけでなく食品としても使用できるようになった段階で充分な安全性評価が行われています。ところが、S体のα‐リポ酸には毒性があり、ラセミ体に50%含まれている天然型のR体によって毒性が緩和できなかったという報告があります。
ラセミ体のα‐リポ酸を含むサプリメントを犬や猫などのペットに使用した場合の死亡例が報告されています。動物の場合には試験によって副作用や危険性などを実証することができるわけですが、人間を対象としたヒト試験で検証することができません。そのためにラセミ体が使用され続けている実態があります。
これを解決したのがシクロデキストリンで、R体のα‐リポ酸を組み合わせることでRα-リポ酸は胃酸で分解されることなく、胃粘膜あるいは十二指腸と小腸に移行し、効率的に生体内に吸収されることが明らかとなっています。この方法によって、胃酸分泌の多い食後であってもR‐αリポ酸は胃液中で安定に保たれるため食前食後に関係なく摂取することができるようになりました。
もう一つサプリメントとしての三大ヒトケミカルの摂取で指摘されているのがコエンザイムQ10の摂取タイミングです。
コエンザイムQ10は生体内には酸化型コエンザイムQ10(ユビキノン)と還元型コエンザイムQ10(ユビキノール)として存在しています。コエンザイムQ10はユビキノン、ユビキノールとも呼ばれると一般に説明されることがありますが、別のものであり、作用も異なっています。
酸化型コエンザイムQ10は細胞のミトコンドリア内で電子伝達系でのエネルギー(ATP)産生のための補酵素として働いています。これに対して還元型コエンザイムQ10には強い抗酸化作用があり、活性酸素を消去することによって血液中の抗酸化活性が高まり、血管障害や糖尿病の合併症の予防などの多くの疾患に対して幅広い効果が期待されています。このようにコエンザイムQ10は体内で酸化型と還元型に相互に交換されながらエネルギー産生と抗酸化の両方の機能によって健康維持に働いているわけです。
還元型コエンザイムQ10は空気に触れると酸化が進み、不安定な物質となっています。そのため、還元型コエンザイムQ10を含むサプリメントは脱酸素剤を利用してアルミ袋に無酸素状態で、しかも低温で保存をしないと品質の保持が困難となっています。
酸化型コエンザイムQ10も還元型コエンザイムQ10も脂溶性物質で、油脂に溶けてから吸収されるために胃の中に油脂を含んだ食べ物が入っていないと溶けることができず、ほとんど吸収されないという難点があります。食事をした後には十二指腸から胆汁が分泌され、これによって溶けることができるので、食後に摂らなければならない成分となっています。
この点もシクロデキストリンによって解決されています。一般のコエンザイムQ10は吸収性が低く、たとえ脂溶性物質の吸収性が高いとされる食後に摂取したところで吸収率は1%程度と極めて低くなっています。ところが、酸化型コエンザイムQ10をシクロデキストリンと組み合わせることによって吸収率は18倍も向上するうえに、たとえ生体吸収率の低いとされる食前であっても吸収率は大幅に向上することが見出されています。さらに、コエンザイムQ10とシクロデキストリンの組み合わせによって、一度摂取すれば生体内のコエンザイムQ10の濃度は高いまま2日以上持続することも確認されています。
吸収型コエンザイムQ10とL‐アスコルビン酸(天然型ビタミンC)と配合すると、L‐アスコルビン酸が還元剤として働き、酸化型コエンザイムQ10が部分的に還元型コエンザイムQ10に変換されて安定していることが確認されています。これによって、吸収型コエンザイムQ10は酸化型コエンザイムQ10と還元型コエンザイムQ10の両方のメリットを得ることが可能となりました。
エネルギー産生ために重要な原料であるブドウ糖はアセチルCoAに変換された後、クエン酸(TCA)回路、電子伝達系を経由してエネルギーに変換されます。α‐リポ酸はブドウ糖をアセチルCoAに変換する働きとTCA回路の回転に関与した働きがあり、コエンザイムQ10には電子伝達系でのエネルギー(ATP)産生に関する働きがあることから、この2種類の成分を組み合わせたサプリメントも少なくありません。しかし、食前に摂ったのではコエンザイムQ10の効果が得られず、食後に摂ったのではα‐リポ酸の効果が得られなくなります。いつ摂るのが効果的であるかわからないまま購入して使っている人がまだまだ多いのが現状です。