体質改善

飲酒と循環器疾患との関連については、コホート研究(茨城、新潟、高知、長崎、沖縄)で40~69歳の男性約1万9000人を対象に10年間の追跡調査を実施しています。それによると、エタノール換算で週に300g未満までは飲酒による循環器疾患の発症リスクの低下が見られました。循環器疾患のタイプ別に見ると、飲酒によって虚血性心疾患の発症リスクを低下させ、週に300g以上の大量飲酒では脳卒中の発症リスクが増加させたと報告されています。エタノール換算で300gというと、日本酒に換算して14合に当たります。1日に2合を超えると循環器疾患の危険度が高まるということです。
先の研究では調査地域が宮城県でした。宮城県というと東北なので飲酒量が多いという印象で、もともと酒に強い県民なので、他の地域の参考にならないのでは、という意見もあるかと思います。都道府県別の1人あたりの年間アルコール消費量を見てみると、宮城県は13位となっています。トップ10を見ると、新潟、秋田、宮崎、大分、鹿児島、高知といった日本酒、焼酎の産地がランクインしていて、おいしい酒が多いところほど飲酒量が多くなるのは想像がつくところです。
アルコール飲料は「多く飲むほど強くなる」ということはありません。酒に強い、弱いはアセトアルデヒド分解酵素の活性度に関係しています。アルコールが分解されるとアセトアルデヒドになりますが、アセトアルデヒドは悪酔いの原因となるもので、それを分解する酵素の活性がよければ、アセトアルデヒドが分解されやすくなり、多くの量を飲めるようにもなります。
アセトアルデヒド分解酵素の活性度は遺伝によって両親から受け継がれるものですが、その受け継いだ人の割合もランク付けされています。それによると、北海道、秋田、岩手、宮城などの東北、新潟、東京と隣接の関東、四国、九州、沖縄に活性度が高い人が多いことがわかります。
長寿者と飲酒量については、すべての人が飲酒をしているわけではないので単純に比較することはできませんが、都道府県別の平均寿命のトップ10のうちアセトアルデヒド分解酵素活性度が高い人が多い地域と重なっているのは男性では熊本、神奈川、埼玉、女性では沖縄、熊本、新潟となっています。
つまり、重なってはいないということで、長生きするために飲酒の機会を増やす、飲酒量を増やすということは、いくら日本酒やビールなどの健康効果が発表されても、試してみることではないということです。そして、適量の飲酒=「百薬の長」ということを胆に銘じるべきです。