Medical Diet130 エネルギー代謝は代謝の一部

全身に60兆個以上あるとされる細胞の中でエネルギーが作られています。そのエネルギーを作っているのは細胞の中にあるミトコンドリアで、直径は500nm(ナノメートル)という小さなものです。500nmは1mm(ミリメートル)の2000分の1です。
小さいものの例に出される細菌は1000〜5000nmで、それよりも小さなものです。さらに小さなウイルスは20〜300nm(インフルエンザウイルスは80〜120nm、新型コロナウイルスは100nm)なので、細菌とウイルスの間の大きさと考えることができます。
そんなにも小さなミトコンドリアですが、1つの細胞に100〜2000個もあります。多く存在しているのはエネルギーを多く作り出す必要がある細胞で、筋肉や肝臓、脳の細胞です。全身のミトコンドリアを合わせると全体重の10%にもなるといいます。それだけ重要で、多くのエネルギーを作り出さなければ生命維持ができないということです。
エネルギー代謝というと、エネルギー源(糖質のブドウ糖、脂質の脂肪酸、たんぱく質のアミノ酸)を材料にして、ミトコンドリアの中にTCA回路で9段階を経てATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー物質を作り出すことを一般には指しています。
エネルギー源はミトコンドリアの中でアセチルCoAというエネルギー化合物に変化して、これがTCA回路に取り込まれるとエネルギー源が減っていきます。特に多くのATPを作り出すのは材料となるのは脂肪酸です。エネルギー代謝が盛んになれば、血液中の脂肪酸が減り、これを補うために脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪が分解されて、脂肪酸が血液中に放出されます。
ATPはアデノシンにリン酸が3個結びついたものですが、リンが1個はずれてADP(アデノシン二リン酸)になるときにエネルギーが発生します。このエネルギーは発生した細胞の中だけでしか使われません。何に使われるかというと、細胞の中で起こる生化学反応のためです。この生化学反応によって、それぞれの細胞が独自の働きをしているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)