Medical Diet31 禁煙で太る理由

タバコを吸っているときには太りにくいのに、禁煙をすると急に太るということを言う人がいます。実際に太ることがあるので、それを言い訳にしてタバコをやめようとしない人も少なからずいます。その理由として前回、食後にタバコを吸うと胃が激しく動き出して、まだ消化されていない段階で小腸に送られるので、吸収がよくないことを紹介しました。
では、吸っていたタバコをやめると急に太りだすのは、どうしてかということですが、一つには充分に消化されないまま小腸に送られていたものが、普通の消化、吸収になるからです。それで急に太りだすとしたら、それまで多く食べ過ぎていた影響といえます。食後の一服で胃から早く送り出されて、胃が楽になるからと、どうしても食べ過ぎの傾向があります。それほど多くの量を食べていなかったら、急に太るようなことにはなりません。
これとは逆に、禁煙したら順調にやせられるようになる人もいます。エネルギー代謝を高めて、ダイエットするためには必要な栄養素があります。エネルギー代謝に欠かせない4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)です。
消化がよくないために、食品の糖質やたんぱく質とともに含まれていたビタミンB群が吸収されにくくなっていた人は、充分に消化されるようになると吸収もよくなります。ビタミンB群の吸収率は種類や食事の条件によって違いはありますが、50〜60%です。これは充分に消化された状態でのことで、吸収率が高まれば吸収率も高まっていきます。
ビタミンB群は水溶性で、体内で保持される時間もビタミンB₁とビタミンB₂が約24時間、ビタミンB₆とビタミンB₁₂が約12時間となっています。4種類がすべてあることがエネルギー代謝には必要で、多くの量を摂っても長くは保持されません。できるだけ多くの量を摂りたいのに、タバコによって消化が不十分であれば、代謝の能力が低下してしまうのも当然のことといえます。
だからといって、ビタミンB群のサプリメントを摂って、安心してタバコを吸ってよいということではありません。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)