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身体年齢を若く保つためには筋肉量を増やすことと、筋肉のバランス能力を高めることが重要になります。筋肉はエネルギー代謝がよくて、細胞の中にはエネルギー産生器官のミトコンドリアが多く存在しています。筋肉が多くなるということは、筋肉で作り出されるエネルギー量も多くなり、そのエネルギーを使って細胞の働きが高まり、これによって筋肉を増やすという好循環になっていきます。

筋肉細胞の中のミトコンドリアはエネルギー源となるブドウ糖と脂肪酸を取り入れてエネルギー代謝のTCA回路というエンジンのような働きをする器官へと送っていきます。ブドウ糖も脂肪酸もTCA回路に入る前にはアセチルCoAという高エネルギー化合物に変化します。

その変化のためには、ビタミンC以外のすべての種類の水溶性ビタミンが必要になります。1種類でも欠けているとアセチルCoAが充分に作られなくなるので、エネルギー産生が減ることになります。

TCA回路ではアセチルCoAがクエン酸に変化して、そこから9段階の変化を経て、再びクエン酸になります。このサイクルの途中の変化のためには4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)が必要となります。

これも1種類でも欠けているとTCA回路の働きが低下することで、エネルギー産生が減ることになります。水溶性ビタミンは、水に溶ける性質があるので、いつ摂っても吸収されるのですが、体内保持時間に違いがあり、ビタミンB₁とビタミンB₂は24時間ほどは保持されるものの、ビタミンB₆とビタミンB₁₂は12時間ほどしか保持されません。

そのため、ビタミンB₆とビタミンB₁₂が含まれた食品やサプリメントは朝食と夕食のタイミングで摂る必要があるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

発達障害支援の原稿の中に「ハビリテーション」と書いて提出したところ、発行された文書を見て驚かされました。なんと「リハビリテーション」となっていました。校正の段階で、どなたかに修正された結果です。

リハビリテーション(rehabilitation)とハビリテーション(habilitation)の違いですが、先に一般に知られているリハビリテーションのほうから説明すると、「元の状態に回復させる治療」を指しています。これに対してハビリテーションは「幼少時からの障害を対象として持っている機能を活かして発達させる治療」です。

治療(治す)というよりも、元々ある能力を伸ばしていくということで、成長過程の子どもを対象としていて、発達障害の療法の考え方の一つと認識されています。

発達障害の改善では、脳機能の根本となる脳幹の機能を高める方法が重視されていますが、それと同時に改善のために必要とされている技術的な部分にアプローチする方法があげられます。

発達栄養を例にすると、感覚過敏から食べることができないほどの苦手となることがある子どもに、五感(味覚、触覚、嗅覚、聴覚、視覚)の感覚を弱めるようにしてあげても、噛むために必要な歯と口腔の状態が整っていなければ改善の手法が通じにくくなります。

食べるために必要な機能を高めることは、栄養に関わる機能を発達させるために欠かせない条件となります。しっかりと噛んで、充分に咀嚼することができれば、飲み込むことができるというのが一般的な感覚かもしれませんが、飲み込むためには喉の筋肉の働きが充分にあり、喉の感覚が正常に働いていることが必要となります。

舌の使い方や吸い込む力の強さも大切で、これらの能力が低い場合には、機能トレーニングとしてのハビリテーションが必要になってきます。飲み込む能力(嚥下機能)が低いと飲み込みに時間がかかり、飲み込みにくい状態が食事をすることへの抵抗感を生むことにもなることから、こういった当たり前と思えるようなトレーニングも重要になります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

会社や団体の行動や判断に影響を与える重要事項が伝えられていなかったら、“自分は聞いていない”と発言するのは当たり前のことです。比較的最近あったのは、団体の活動として得ていたはずの収益が、いつの間にか団体の代表者の会社の売上になっていたことを会計書類で初めて知ったことです。

こうなると、「なぜ報告しなかったのか」と詰問するレベルではなくて、団体の存続にも関わることです。そして、誰が団体を辞めるのかという話になり、辞めたのは私でした。

ここまでの大問題ではなくても、会社の出来事を、すべて代表者に報告する必要はなくて、事実を伝えて判断を仰ぐときにだけ話をするというのは普通にあることです。結果を伝えたときに、その内容が代表者の意向に沿ったものであったときには報告を聞くだけであるのに、意向に沿わないときには「自分は聞いていない!」と言い出す人がいます。

中には、自分がいないときに会議をして進めておくように、と指示をしておきながら、気に入らない結果だったときには、「なぜ自分がいないときに会議をした」と言い出す人もいます。そして、社内の関係者だけでなく、外部の人間にも来てもらって話をしたことなのに中断になり、外部との関係がおかしくなってしまったという例もありました。

“自分は聞いていない”という状況が、なぜ起こったのか、そのようなことが今後ないようにするには何をすればよいのかということを提示なり提案なりしてくれればよいものの、意向にそぐわないことに怒る、自分の指示したことを忘れたのか、忘れたふりをしているだけなのか、怒るだけで前進しないということもあります。

その外部の人間の一人に自分も含まれていて、関係がおかしくなってみると、そして今も改まっていないということを聞くと、早く離れてよかったと感じていることでもあります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

歯科健診をきっかけとした口腔と全身の健康の研究(健康デザイン11、12)で登場した日立健康管理センタは、日立グループの事業所の健康診断、産業医活動、産業保健師活動、カウンセラー活動などを実施している産業保健サービス機関です。

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策の特定保健指導プログラムとして、独自に100kcal単位の食事指導の「はらすまダイエット」を実践しています。

100kcal単位の栄養学の元祖は慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの山下光雄先生(慶應義塾大学病院食養管理室出身の管理栄養士、産業栄養指導者)で、私(小林正人)は山下先生とNPO法人日本100キロカロリーダイエット協会を設立して、私が代表理事となって、100kcal単位で食事内容を考える指導を各方面に対して実施してきました。

栄養学の摂取エネルギー量の基本は80kcalです。栄養士教育でも医療機関における栄養指導でも80kcalの食事量が示されています。これに対して100kcal単位で食事量を考えるようにする指導は新奇なことではありません。

日本の栄養学の始まりは明治時代の軍隊の食事から始まり、軍医の森麟太郎(文豪の森鴎外)はドイツに留学して栄養学を学んできました。軍隊では仕事量によって食事量を100kcal単位で定めていたことから、これを日本でも採用しました。

栄養の総本山の栄養研究所(現在の国立健康・栄養研究所の前身)の初代所長の佐伯矩医学博士は、栄養学校(現在の佐伯栄養専門学校)を設立して、卒業生を栄養士とした栄養教育の祖です。このときの食事量も100kcal単位が採用されていました。

この伝統が80kcalになったのは終戦の後の食糧難の時代で、肥料不足、飼料不足もあって1食当たりの食品のエネルギー量が80kcal前後となっていたことから、戦後の緊急措置として80kcal単位が昭和22年の日本栄養・食糧学会(第1回)で提案されました。

この提案を行った方は、後に私が事務局をしていた産業栄養指導者会の初代の会長です。
80kcal単位を採用した日本糖尿病学会によって医療機関に広まり、教育では女子栄養大学によって医療機関以外にも広まっていきました。また、新聞や雑誌、テレビ番組を通じて広く普及されました。

現在では1食分の食品のエネルギー量は100kcal前後になっているのに、いまだに80kcalが1単位として使われています。1単位という用語は80kcalの倍数が計算しにくいことから使われるようになりました。これがわかりにくく、栄養指導が一般の方に通じにくい要因となっています。

このような状況から、「いまだに栄養学の戦後は終わっていない」と言われることがあります。

健康デザインでは、いろいろな健康づくりの方法を組み合わせていますが、わかりやすいことが重要であることから、一般に対しては100kcal単位を採用して、1枚のカードを100kcalとして、カードの組み合わせによって何を、どれだけ食べればよいかを伝えるようにしています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

健康雑誌が最盛期だった時代には、雑誌の記事が健康食品の体験談になっているというのは当たり前の光景でした。10ページを超える体験談が連続して何本も載っている状態でしたが、これだけでは販売につながらないということで、購入方法が掲載されています。

その多くは広告で、体験談の記事と合わせて読むことで、広告では触れていない効能効果を知って、注文をしてもらおうという戦略です。そんな記事広告が法律違反とされたことがありました。

同じ体験記事と広告が一つの雑誌に掲載されていても、一方は全部が広告と判断されて法律違反となり、もう一方は記事と広告と区別されて、これは法律違反とはなりませんでした。その違いは連続して掲載されているかどうかという点だけです。

体験記事の後のページに広告が掲載されていると全部が広告、体験記事と広告の間に別のもの(記事、他商品の広告)が入って分断されていると別物という判断です。体験記事の最後のページがあって、そこからページをめくったら、右側に別の記事、左側に体験記事とつながる広告があっても大丈夫という判断でした。

このようなことがあったので、健康雑誌は健康食品の絶好の販売の機会となっていたのですが、世の中がネット時代になり、さらにテレビの通販番組が盛んに流されるようになってから健康雑誌の販売数は激減しました。

老舗の「健康」はページ数が薄くなって月刊から季刊(年4回発行)になり、歴史の長い「爽快」と「安心」は出版社の倒産で別の会社に発行権が移りました。他にもページ数が減る、発行回数が減るといった状況が続き、今では体験記事が1種類という健康雑誌もあります。

逆に、これをチャンスとみた健康食品販売会社もあって、ライバルの記事も広告も載っていないということで好調な売り上げを続けている会社もあります。その会社は、東京でコンサルタントをしていたところで、しぶとさには脱帽感覚です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

歩くスピードは、普通の速度(時速4~5km)でも10分間も歩けば、ブドウ糖のエネルギー代謝を盛んにさせる効果があります。しかし、もっと効果を高めるためには速歩がすすめられます。速歩は一般には普段の歩き方よりも20%ほど速く歩くスタスタ歩きのことを指します。

時速にして7km以上になりますが、少し息が弾むような速歩でもジョギングに比べて30%ほどエネルギー消費が少ないだけです。つまり、速歩で10分間も歩いたほうが血管への負担も少なく、エネルギー代謝効果が高いということです。

運動を行う時間帯としては、血糖値が上昇した食後1時間から2時間後に行うのが最も効果的です。とはいえ、運動は時間帯に限らず行ったほうがよいので、食後に時間が取れない人は、できるときに行うことでも大丈夫です。

血糖値が高めの人には、ウォーキングなどの持久運動のほかに、筋肉をつけるための強化運動も指導されることが多くなっています。

血糖値が高い人は、筋肉細胞にブドウ糖を取り込んでエネルギー化する力が弱くなるため、ブドウ糖の代わりに脂肪酸もエネルギーとして使われるようになります。

そのために糖尿病まで進むと脂肪酸がエネルギーとして多く使われるために、だんだんとやせてきます。また、筋肉に蓄えられているたんぱく質もエネルギーとして使われるために、筋肉が衰えていくようになります。

糖尿病予備群と呼ばれる血糖値が高い状態では、筋肉が急に減っていくようなことはないものの、筋肉への負荷が低下すると徐々に筋肉が衰えていくことになります。

ブドウ糖は筋肉で多く使われているため、筋肉の量が増えることは、それだけブドウ糖が筋肉に取り込まれることになり、血糖値も下がりやすくなります。

筋肉の能力というと瞬発力と持久力があげられますが、もう一つの筋代謝力が注目されています。これは筋肉がブドウ糖や脂肪酸を代謝させる能力のことで、有酸素運動を続けることで高まっていきます。筋代謝力を高めるためにもウォーキングは有効です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

フレイルとプレフレイルが地域的に急増する懸念が抱かれる中、日本生活習慣病予防協会が、医師330名に対してアンケートを実施しています。

働き世代のプレフレイル予防として、有効だと思うものについての質問に対して、以下のような回答(複数回答)が得られています。(予防がとても重要だと思う、重要だと思うと回答した282名への質問)

「定期的に運動をする」(75.5%)、「なるべく自分の足で歩く時間を増やす」(69.5%)、「筋肉量を減らさない・増やす」(68.4%)、「十分な睡眠をとる」(65.6%)、「栄養バランスを整えた食事」(63.1%)、「定期的に健康診断を受ける」(56.0%)、「ストレスを溜めない」(55.3%)、「趣味を楽しむこと」(53.2%)、「1日3食きちんと食べる」(51.8%)、「禁煙、もしくは喫煙の回数を減らす」(50.7%)、「たんぱく質を多めに摂る」(50.0%)、「毎日歯をみがく」(50.0%)、「毎日誰かと話す(通話やオンラインも含む)」(46.1%)、「禁酒、もしくはお酒の量を減らす」(42.6%)、「視力・目の疲労感・見えやすさなどを良好に維持する」(39.4%)、「塩分を控える」(35.8%)、「脂質を控える」(30.5%)、「脳トレをする」(28.4%)、「食事で補えない栄養素をサプリメントで補う」(20.9%)、「特定保健用食品や機能性表示食品を食べる・飲む」(12.8%)。

上記の結果は医師から得られた回答ということで、それが患者への指導に影響を与えてきます。プレフレイルはフレイル予備群であるので、運動の習慣化や運動による筋肉量の維持という回答が多く、それを補うこととして睡眠や栄養バランスに関することが続いています。

栄養の摂取には歯の健康も重要で、「毎日歯をみがく」が50%の回答率となっています。また、食に関わる回答も多く、これも歯の健康状態が関わってくることです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

利き腕は、誰もが知っていることで、右利きか左利きかによって同じことでも苦労、かかる時間に違いが出てきます。日本の文字は右利きが原則で作られているので、左利きには不利となります。そこで幼いときに左利きを右利きに矯正されることもあります。

左利きの割合は世界的には10%ほどです。日本人の場合には右利きが88.5%、左利きが9.5%とされています。残りの2%は何かというと両利きです。自分のことで言うときに“二刀流”は言い過ぎかもしれませんが、私は左右ともに同じように使えました。

しかし、幼いときに母親の実家の寺に預けられていたときに、お寺の仕事は右利きでないとやりにくいこともあって、右利きが得意となりました。弟は左利きで生まれ、親元で育ったので、そのまま矯正せずに左利きを貫いています。

利き腕だけでなく、“利き足”というものもあって、足の器用さということでは利き腕と同じほうが利き足になっている例がほとんどです。ところが、身体のバランス感覚ということでは腕の右利きの人は左足のほうが力が強く、これは器用に動かすことができる足の動きを支えるための土台となっています。

武道として剣道、柔道、空手を学んでいたので、前に踏み出す足よりも、蹴り出す力があり、踏み出す足を自由に動かすための土台となる利き足の重要性を感じていました。

片足立ちをしたときにもバランスが取りやすいというのが多くなっています。目を開けての片足立ちではバランス能力の違いはわかりにくいかもしれませんが、両目を閉じての閉眼片足立ちでは、持続時間に差があり、どちらが利き足なのかを知ることができます。

利き目というものもあります。どちらが視力がよい、動体視力に優れているということではなくて、左右の目から入ってくる視野情報の優位性を指しています。どちらの目で見た情報を優先させるかという能力で、利き目のほうが視界の幅が広くなっています。

鏡を前にして片目ずつ閉じて、どちらの耳が広い範囲まで見えるかで確認できます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

軽い運動から運動強度が徐々に増していくときに、有酸素運動から無酸素運動に切り替わる転換点があります。このときの運動強度レベルは無酸素性作業閾値と呼ばれており、英語表記ではAT(Anaerobics Threshold)とされます。

軽い負荷の運動では、筋肉でエネルギー産生されるときに酸素が多く使われる有酸素運動となります。激しい運動では酸素の必要量に対して供給が追いつかなくなり、筋肉を動かすためのエネルギー産生が解糖系(嫌気性代謝)となって、無酸素運動になります。

解糖系ではブドウ糖はピルビン酸に代謝され、ピルビン酸がアセチルCoAとなって有酸素運動で消費されない場合には、ピルビン酸は乳酸に変化します。血液中の乳酸濃度が上がり始める手前の運動強度の限界点がATとされています。

運動をし慣れている人の場合には、心肺機能が高まり、酸素を体内に取り入れる能力が高く、強い運動でも酸素不足になりにくく、ATが高くなります。これに対して運動をし慣れていない人の場合には、有酸素運動であっても無酸素運動と同様の状態になります。これが無酸素領域で、有酸素運動を続けているだけで無酸素運動と同様になります。

無酸素領域では、エネルギー代謝に使われるエネルギー源の中心は脂肪酸からブドウ糖に切り替わることから、運動をしている割には脂肪酸の消費が進みにくくなります。そのため有酸素運動ではATを超えないようにします。その見極めは有酸素運動による呼吸数が一定リズムを刻み続ける状態で、呼吸が激しくなってきたらATに達したか、ATに近づいていると判断できます。

有酸素運動と無酸素運動を交互に行うインターバルトレーニングのうち、サーキットトレーニングは30秒間ずつ繰り返すことを基本としています。これはショートインターバルトレーニングと呼ばれています。

これよりも長い時間の無酸素運動を行うことによって乳酸が多くなっても、その後に長めの有酸素運動を行うことによって乳酸をエネルギー源として使うことができます。その特性を活かして、ミドルインターバルウォーキングを実施する場合には有酸素運動と無酸素運動のプログラムを設け、それに従った速度と負荷を調整するアクティブウォーキングを実施しています。

一般には、通常歩行20分、中強度歩行10分、通常歩行20分、中強度歩行10分、通常歩行20分を1セットとして、体力や経験などに合わせて通常歩行の時間を調整していきます。10分間の中強度歩行が負担となる場合には、通常歩行10分、中強度歩行5分、通常歩行10分、中強度歩行5分、通常歩行10分を1セットとして1日に2セットを行うこととしています。

中強度というのは会話をしながら続けられる強度を指しています。

これは1日に20分以上のウォーキングによって健康効果が高められることに沿って設けられたプログラムですが、実際に実施する場合には実施者の身体状況、経験、体力などによって調整する必要があります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

厚生労働省の「健康日本21」では、歯・口腔の健康について目標を定めて健康づくりを推進しています。その現状と目標から歯の喪失の防止について乳児期のう蝕予防を紹介します。

◎乳児期のう蝕予防
乳児う蝕は3歳児で昭和60年に1人平均2.9歯、有病者率56.2%であったものが、平成10年には1人平均1.8歯、有病者率40.5%となるなど、近年確実に減少傾向を示しています。

しかし、都道府県別に見ても有病者率で30ポイント以上の差があるなど、地域差、個人差が非常に大きいという課題があります。

また、乳歯のう蝕と永久歯のう蝕には強い関連が認められるなど、乳幼児期は歯口清掃や食習慣などの基本的歯科保健習慣を身につける時期として非常に重要であり、生涯を通じた歯の健康づくりに対する波及効果も高いと言えます。

そのため、3歳児におけるう蝕のない者の割合を増加させていくことを目標として、乳歯う蝕の予防を徹底していく必要があります。

一般的に、う蝕の予防対策としては、その病因論から、う蝕を誘発する甘味飲食物の過剰摂取制限、歯口清掃による歯垢(デンタル・プラーク)の除去、歯質の強化対策としてのフッ化物の応用などが実施されています。

一方、3歳児のう蝕に関するリスク因子に関しては多くの調査が行われており、甘味摂取の回数、授乳方法・期間、保護者(母親)のう蝕経験、フッ化物歯面塗布回数などが示されています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕