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今の状態から逃れたい心理状態になるとパニック状態になることがあります。パニックは突発的な生命の危機に直面したときに起こる身体反応で、鼓動が早くなる、血の気が引いて冷静に考えられなくなる、大声で叫び出したい気分に襲われることを指しています。

発達障害がある子どもの場合には、実際に大声をあげて走り出すこともありますが、これは危険を回避して逃げるためには必要なことであり、身体に備わった生き延びるためのプログラムとされます。

パニックを引き起こす状態が続くと、突然理由もなくパニック発作が起こることもあります。パニック発作は、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震え起こり、命の危険がないにも関わらず命が脅かされているような不安や恐怖を感じて、激しい身体反応が起こる状態をいいます。

子どもがパニックになるのには理由があり、苦手な課題をやらせようとするとパニックが起こることがあります。その場合には、できることから少しずつ課題を与えることが必要になります。手がけていることを途中で中断させることがあるとパニックを起こすことがあります。

自分なりの計画を立てて、時間配分をして実施している場合には、それを尊重して時間をかけて実施するようにさせます。また、見通しを立てずに実施している場合には、時間や終了の目標などを明確に示すことも大切になります。

パニックを起こしやすい子どもは、否定的な言葉を使われるとパニックにつながりやすい特徴があります。そのため、「〜をしてはダメ」ではなく、「〜しよう」というように肯定文で伝えるようにします。

ほめることは大切な対応ではあるものの、パニックを起こしやすい状態のときに、ほめることは心理的な負担を高めることになりやすいことがあります。そのため、落ち着いているときに、ほめるように配慮します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

大手出版社でゴーストライターをやっていたときのこと、「話していることを、そのまま文章にするだけでよい簡単な仕事」と言われて引き受けました。普通なら、おいしい話には注意しなければいけないとブレーキがかかるところですが、そのときは時間が空いていることもあって安請け合いしてしまいました。

“安請け合い”と書いたのも“してしまいました”と書いたのも、おいしい話ではなかったということの前振りの表現ですが、ゴーストライターであることを隠して、ゴーストライターを務めるという奇妙な体験をすることになりました。

出版のためにインタビューをする相手は話し方教室の先生で、話し上手で、感動させる話をしてくれるという評判でした。流暢な話し方で、心に響くキーワードの連続で、確かに文章にするのは難しくはありませんでした。

ところが、話したことを、そのまま文章にしていく作業の途中で違和感を感じました。言葉の流れとしてはリズミカルでよかったのですが、実際に出来上がった文章を読んでみると、何を言いたいのかわからないという状態でした。

話を聞いているときには、よくわかるような感じがしていたものの、それを文字にしてみると、まったく違った印象になっています。仕事として引き受けたからは、読みやすくて、理解しやすくて、感動もするような文章として仕上げたいというのは物書きとしての性(さが)です。

しかし、編集者からの指示は、話している、そのままの言葉を文字にして書籍にすることでした。それでは書籍を買ってくれた人に申し訳ないようなものになってしまうので、著者と交渉をしてくれるように編集者に頼みました。

その交渉では、著者(実際には書かないわけですが)が、自分の話していることに自信があるので、受け入れられないということで、編集者が文字化して原稿を作成するということになりました。

これでお役御免かと思っていたら、編集者が原稿を作成したことにして、実際には私が原稿化するとの提案がありました。いわば“ゴーストライターのゴーストライター”で、著者の話したままではなくて、言いたいことを抜き出して、膨らませ、読みやすい文章にして、やっと世に出すことができました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

厚生労働省が「トータル・ヘルスプロモーション・プラン」を打ち出し、多くの企業が「THP運動」に取り組んだ時代があります。THPは「Total Health Promotion」の略で、心と体の健康づくり運動を意味しています。当時の厚生省が策定した「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づいた労働者の心身両面にわたる健康づくりのための取り組みです。

この指針は労働安全衛生法の改正(1998年:昭和63年)によって設けられたもので、労働安全衛生法の69条と70条、労働大臣が公表した「健康づくり指針」に沿って、健康測定の結果に基づいた栄養指導、運動指導、保健指導、心理相談などを行うために始まったのがTHP運動です。

私(小林正人)が当時所属していたHDS(病院栄養管理)研究所の所長が国立病院出身の管理栄養士で、日本栄養士会の理事長を務めていたこともあって、THP運動の栄養指導を担当する産業栄養指導者の団体・産業栄養指導者会を設立しました。

他のヘルスケアトレーナー会、産業保健指導者会、心理相談員会と連携して、それぞれが専門分野で指導するだけでなく、THP運動に関わる他の業種についても学び、それぞれの働く人の状態に合わせて健康づくりの手法を組み合わせていくという画期的な取り組みを始めました。

現在の厚生労働省が発足したのは2001年(平成13年)のことで、それ以前の統合前にTHP運動を厚生省と労働省が垣根を越えて実施する珍しい取り組みでした。

2005年(平成17年)に8つの医学系学会(日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本肥満学会、日本循環器学会、日本腎臓病学会、日本血栓止血学会、日本内科学会))が合同して、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準を策定して、内臓脂肪を減らすことを健康づくりの根本として掲げたことによって、THP運動の活動に拍車がかかりました。

THP運動は現在も続けられているものの、社会や労働環境に変化に伴い、見直しが行われています。しかし、メタボリックシンドローム対策が一時期の盛り上がりが見られなくなったのと呼応するように、THP運動も一時期の勢いがなく、企業の中には過去のもの、懐かしい用語と認識するところさえ表れています。

健康づくりをトータルで捉え、取り組んでいくという活動は、個人対応が必要な時代には重要な考え方であり、それを再燃させるためには新たな取り組みが必要になると認識しています。その新たな取り組みが、「個人に適した健康デザイン」です。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

健康づくりの方法というと、栄養、運動、休養が三大要素で、どれを重視するか、どれから始めるかという議論が盛んに行われていた時期があります。しかし、今では、どれも必要で、健康で改善を求めるなら同時に取り組むべきだとされるようになっています。

この連載コラムは「健康デザイン」のテーマで、健康づくりを無理なく無駄なく進めるために何をすべきかということを伝えていきます。初めは健康の考え方についての総論的なコラムです。

健康という概念を説明するのは難しいところがあって、健康そのものを売っているわけでもなくて、買うわけにもいきません。健康ということで思い浮かべることが多い医師のところに行って、「健康にしてください」と希望しても、健康になる方法を施してくれるわけではありません。

私(小林正人)は東京にいたときには、公益財団法人日本健康スポーツ連盟の理事を務めていましたが、スポーツも同じようなところがあり、「スポーツを売ってください」と言ったら、「どんなスポーツか」「どのような用具か」と聞かれるのがほとんどです。

健康とスポーツと曖昧になりがちなものを結びつけた活動に携わっていたので、その定義については常に自問自答していました。

何を持って健康というのか、ということですが、健康についてはWHO(世界保健機関)が次のように定義しています。

「健康とは、肉体的、精神的および社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」

社会的な健康というのはわかりにくかと思いますが、①自分の感情に気づいて表現できること(情緒的健康)、②状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること(知的健康)、③他人と社会と建設的でよい関係を築けること(社会的健康)を合わせたものを意味しています。

社会的な健康のためには、心身の健康状態が保たれていることが基本であり、すべての要素が総合的に充実していないことには、健康であると胸を張って生活することも仕事をすることもできないということになります。

総合的な健康づくりとしては25年以上も前から国の方針に基づいて続けられていることがあり、それはTHP運動といいます。このTHP運動を例にしながら、健康になるための、健康であり続けるための健康デザインについて考えていくきっかけに、このコラムが役立つことを願って書き始めました。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

機能性表示食品は機能性を表示して販売できるもので、試験結果によって得られたエビデンス(科学的根拠)が必要です。そのエビデンスに基づいて表示内容が決められます。

その一つに「善玉菌を増やす効果がある」と表示されたものがあります。内容成分としては腸内細菌の善玉菌と同じような種類の乳酸菌が含まれているので、これが腸内(大腸)で善玉菌となって働いてくれると思われがちです。

ところが、そうとも限らないことがあります。腸内細菌は生きている菌です。それに対して乳酸菌の機能性食品は死んでいる菌もあります。中には生きている菌もあるものの、錠剤にした乾燥した状態では生きたまま大腸まで届けることはできません。

生きた菌であったとしても、強酸性の胃液のために生きたまま腸内を進むことは難しくなっています。それなのに大腸で善玉菌を増やすことができるのは、乳酸菌が大腸に棲息している善玉菌の栄養源(エサ)になるからです。

善玉菌が栄養源として食事から取り入れているのは糖質、乳製品、食物繊維です。このほかにも乳酸菌も栄養源になるものの、生きたままの乳酸菌は活動しているので、善玉菌は栄養源にすることはできません。

死んだ状態の乳酸菌なら栄養源とすることができます。そのため、わざわざ乳酸菌を死滅させて機能性食品や健康食品としています。死滅させる方法としては熱、酸、化学物質などがありますが、主な方法は熱によるものです。

そのようなことを表示すると、生きたまま大腸まで届いて、そこで善玉菌として働いてくれるものと期待している人をガッカリさせることにもなるので、「善玉菌を増やす」という表現をしているのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕

身体の健康状態は、脳の機能も大きく影響してきます。脳が全身の機能を調整していることだけでなく、健康づくりに必要な気力や神経伝達も脳の働きに影響を受けています。脳は正常に機能するために、必要な成分以外は取り込まれないようになっています。

脳の細胞に酸素や必要な成分を運んでいるのは毛細血管ですが、脳の毛細血管には他の毛細血管とは違った特徴があります。それは血液脳関門と呼ばれる特別なゲートがあることです。

血液脳関門(Blood Brain Barrier)は、毛細血管の内皮細胞にあって、ここを通過できるのはエネルギー源ではブドウ糖だけです。脂肪酸もアミノ酸も通過できないので、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源と呼ばれています。

必要なものを通過させるのが原則であっても、アルコール、カフェイン、ニコチンといった摂取量によっては有害にもなる成分も通過しています。医薬品の成分は高分子(分子量が多いもの)であるので通過できないのですが、抗うつ剤のように脳に作用するものは低分子になっていて通過します。

本来なら通過してほしくはない鉛、水銀、アルミニウムは血液脳関門で減らされることはあっても通過しています。これらの有害金属はアルツハイマー病の原因物質ともされています。

体内に入ったアルミニウムは解毒機能によって99%は分解、排泄されるものの、1%は残ることが報告されています。その残る部分が脳です。脳に入ると分解されることは少ないので、これが認知機能に大きな影響を与えると考えられています。

有害金属は脳に蓄積されて影響を与え、身体年齢にも影響するだけに、若いときから有害金属を避ける生活が重要とされているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

血圧は血管の動脈にかかる圧力のことで、心臓から送り出された血液の勢いによって高まっていきます。血圧が上昇する原因は複数あるのですが、内臓脂肪の蓄積によっても上昇します。

内臓脂肪が蓄積すると悪玉の生理活性物質のアンジオテンシノーゲンが分泌されます。この生理活性物質はインスリン抵抗性を引き起こして血糖値を上昇させることが知られていますが、それと同時に血管を収縮させ、さらに血液中の塩分濃度を高めるために、血圧を上昇させます。

血圧の上昇を抑えるために、高血圧の原因とされる塩分(ナトリウム)の摂取量を減らすことがすすめられるものの、アンジオテンシノーゲンによって塩分濃度が高まってしまうと、その効果が充分には得られなくなってしまいます。

肥満と呼ばれるほどに太ると、血管の外側にある脂肪細胞が膨らむことになり、血管が圧迫されて血液が送り出されたときに弾力をもって膨らみにくくなります。そのために血液による圧力が血管に強くかかるようになって、血圧が高くなっていきます。

また、肥満になると、脂肪細胞の中にたまっている脂肪を血液中に放出するために自律神経の交感神経の働きが盛んになり、脳から興奮作用があるアドレナリンが多く分泌されるようになります。アドレナリンは血圧を上げるホルモンでもあるので、多く分泌されるほど血圧は上昇していくようになります。

20歳のときよりも10kg以上も太った人は、脂肪細胞が肥大増殖型になっています。脂肪を多くためているのは正常な状態ではないために、常にアドレナリンが多く分泌され、常に血管が収縮して血圧が上昇することになります。

内臓脂肪を減らすのに効果があるのは有酸素運動です。有酸素運動は、酸素を吸いながらの運動で、酸素を体内に多く取り込みます。脂肪を分解する働きをする酵素のリパーゼの働きによって分解された脂肪酸は、細胞のミトコンドリア内で酸素を使ってエネルギー代謝されます。細胞の中でも代謝によって多くのエネルギーを作り出しているのは筋肉細胞です。

有酸素運動にはウォーキングやサイクリング、ジョギング、エアロビクスなどがありますが、運動をしなれていない人にとってはジョギングやエアロビクスは身体への負担が大きくなります。その結果として負荷がかかりすぎると、通常の酸素摂取では間に合わずに無酸素運動と同様の状態にもなりかねません。

リパーゼは平常の体温では、それほど働きがよくはなくて、身体を動かして筋肉が温まってくることによって働きがよくなっていきます。歩き始めてから10分くらいまではブドウ糖が盛んに代謝していて、その後に脂肪の代謝が盛んになっていきます。

有酸素運動は、無酸素運動に比べると血管への負担が少なく、血管の弾力性を高めることにも役立つため、血圧が高めの人でもウォーキングなら安心して続けることができます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

私たちが研究・実践指導しているメディカルダイエットは、生理学を基本としているので分類でいうと西洋医学の範疇となります。それなのに、発想は東洋医学的で、同じ治療、同じ医薬品なら同じ結果になるとは考えていません。

西洋医学の治療であっても受け手側の状態によって結果が違うのは当たり前のことです。東洋医学では証という体質があり、体質によって同じ手法(薬や療法)であっても身体によい結果を与えたり、逆に悪い結果を与えることにもなります。だから、東洋医学には、医薬品(漢方薬だけでなく)は体質が違うと、どんなものでも悪くなる可能性があるという考えがあります。

健康づくりの手法(食事、運動、休養など)にしても、個人の状態を考慮すると合うものもあれば合わないものもあって、ピッタリと合うための“健康デザイン”を行うためには、数多くの手法を研究して、さらに体質の研究も進めていくことが必要だと考えています。

私が東洋医学の発想をするのは、妻が鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持っているからだと言われることが多くなっています。私の栄養学の師匠(当時は国立病院勤務の管理栄養士)が東洋医学国際研究財団の副会長も務めていたこと、主治医(有名私立大学の医学部教授)が日本未病学会の理事長を務めていたこと、子どものときに親元を離れて母の実家の寺で暮らしていたこと、親と暮らすようになったのが山奥で医療機関がないところで野草・薬草に親しんでいたことなども関係しています。

西洋医学と東洋医学の両方の仕事で中国の医療機関を取材したときに、西洋医学の医薬品を東洋医学の発想で使っている病院が多いことを知りました。日本では健康食品の扱いのキノコ加工品が、国家プロジェクトで医薬品として病院で広く使われることも知りました。

西洋医学は重要であることを認めつつも、自分の身体の状態に合わせたアレンジ、デザインが必要だと強く認識したことが、今も影響を与えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

健康食品の購入数は、季節によって変化することがあります。それは気候によるものではなくて、年中行事が関係しています。出費が多い年末年始、春の連休、夏休みのお盆などは、他の出費を抑える傾向があり、健康食品の購入を少し延ばそうとする人が多くなります。

これは通常の消費行動ですが、高齢者の場合には特に強く現れることがあり、孫が訪問してくる時期には、お小遣いやお土産に費やす金額が増える分だけ、購入数、購入金額が下がりがちです。

ところが、そんな出費が影響する時期であっても販売数が減らないものがあります。それは痛み関連の健康食品で、膝に痛みがある高齢者の場合には続けて購入しようとします。定期的に購入している健康食品は続けて購入するものの、いろいろと試している段階では、安い商品に代えることもあります。

といっても効果を感じて、気に入っている商品の場合には、痛みがぶり返してはいけないからと、他の出費を削ってでも購入しようとします。孫の前では元気なおじいちゃん、おばあちゃんでいたいという心理も働くこともあって、なおさら摂り続けようとします。

膝の痛みを軽減させる健康食品の素材といえば、グルコサミン、コンドロイチンが有名ですが、「膝の痛みを軽減させる」と表現して販売することはできません。医薬品的な効能効果を表示することは法律で禁止されているからです。

そのため、機能性が研究によって明らかにされている機能性表示食品であっても、「軟骨を再生」「炎症を抑える」「痛みを軽減」とは表示できないため、「歩行機能を保つ」とか「歩行をスムーズにする」といった表現になって、初めて使う人にとってはわかりにくくなっています。

グルコサミン、コンドロイチンが効いて軟骨が再生されるまでは期間がかかるので、早く効果を感じてもらうために、痛みを軽減させる成分が加えられているのが膝関連商品の特徴です。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕

認知症対策の世界では、以前から2025年問題が叫ばれてきましたが、目の前に迫ってきました(2023年7月現在)。

2025年は認知症の高齢者が700万人となり、65歳以上の高齢者の5人に1人に達すると推定された年だったからです。また、認知症予備群とされる軽度認知障害も同数程度になると考えられています。軽度認知障害になると5年で半数が認知症に進行するとされています。

2025年は団塊の世代が全員、75歳以上になる年でもあり、75歳は介護対象者が増えていく分岐点ともなっています。

これまで高齢者の介護というと、身体の介護が主な課題とされてきましたが、今後は身体とともに認知症による介護も重要になっていきます。

それを踏まえて、2023年6月14日に、認知症基本法が成立しました。法律が成立すると一般的には1年以内の施行とされてきましたが、認知症は急を要するとの認識から6か月以内の施行とすることが明記されています。

認知症基本法については前回(Age free岡山25)、概要を紹介しましたが、これを実施するために、それぞれの責務が定められています。

〔国の責務〕認知症施策を総合的に策定し、実施する責務を有する。

〔地方公共団体の責務〕認知症施策に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有する。

〔保健医療サービス、福祉サービスを提供する者の責務〕国・地方公共団体が講ずる認知症施策に協力するとともに、良質かつ適切なサービスを提供するよう努めなければならない。

〔日常生活・社会生活を営む基盤となるサービスを提供する事業者の責務〕国・地方公共団体が講ずる認知症施策に協力するとともに、サービスを提供するに当たっては、事業の遂行に支障がない範囲内において、認知症の人に対して必要かつ合理的な配慮をするよう努めなければならない。

〔国民の責務〕認知症に関する正しい知識を持ち、認知症の予防に必要な注意を払うように努めるとともに、認知症の人の自立・社会参加に協力するよう努めなければならない。

認知症予防は国や自治体、事業者が取り組むだけでなく、国民は自分や家族、地域の直接的な問題として、予防に効果があるとされる食事や運動、休養などに積極的に取り組むことが求められているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕