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膝の痛みは、膝の軟骨が強い刺激や老化などによって擦り減ることによって起こります。関節の骨と骨が相対している部分には軟骨があります。軟骨は氷の5~8倍も滑りがよいとされ、摩擦を防いだり、骨にかかる衝撃をやわらげる働きをしています。

軟骨はスポンジ状の組織となっていて、関節液が染み込んでクッションのように軟らかく、弾力性があります。年齢が進んで関節液が少なくなると硬くなり、弾力性が失われてくると滑りが悪くなっていきます。そのために軟骨に負担がかかるようになり、徐々に擦り減って軟骨の下の骨が神経に触れて、痛みが生じるようになります。

軟骨の減少に拍車をかけているのは活性酸素です。軟骨の細胞は活性酸素が増えると壊れやすくなり、活性酸素が増えるほど軟骨が減ってしまいます。軟骨はグルコサミン、コンドロイチンでできているので、これを健康食品によって補うことで再生させていくことができます。しかし、破壊が大きく進むと補充が間に合わなくなり、なかなか痛みが改善されにくくなります。

膝の痛みを予防するためにも、痛みを改善するためにも活性酸素の消去は欠かせません。

糖尿病は、血液中のブドウ糖が高濃度になる病気です。血糖値(血液中のブドウ糖の値)が高い状態が長期間続くと、血管細胞の新陳代謝が低下して、徐々に血管が硬くなり、弾力性も弱くなっていきます。これは古くなったゴム管がボロボロになっていくのと似た状態です。もろくなった血管は元には戻りにくく、細胞に新鮮な酸素と栄養素が充分には送られなくなります。

糖尿病の三大合併症である網膜症、腎症、神経障害は、網膜、腎臓、神経細胞という細くてもろい細小血管が密集している器官で起こります。これらの弱い血管は高血糖の影響を受けやすく、障害も出やすくなっています。

これまで、糖尿病と合併症の関係は、高血糖が主な原因だと考えられてきましたが、それだけが細小血管の障害の原因ではありません。

糖尿病になると、血液中のブドウ糖が過剰になり、血液中のたんぱく質である赤血球と結びつくようになります。赤血球の中には鉄を含む色素とたんぱく質が結合したヘモグロビンが存在していますが、このヘモグロビンにブドウ糖が結びついたものがヘモグロビンA1cで、この値は長期間の血糖コントロールの指標となります。

ヘモグロビンA1c値が高いということは、血糖値が長期間にわたって高めの状態であったということを示すだけでなく、血液中のたんぱく質とブドウ糖が結びついた糖化たんぱくが多くなっている証拠でもあります。血液中で糖化たんぱくが合成されるときにはエネルギー代謝の産生物として活性酸素が発生します。ヘモグロビンA1c値が低めであっても、糖尿病であれば糖化たんぱくが増えていることには違いがありません。つまり、糖尿病では体内で活性酸素が多く発生し、ヘモグロビンA1c値が高いほど活性酸素の量が増えているということです。

活性酸素が発生する理由は、もう一つあります。糖化たんぱくは血糖値が低めに抑えられていると徐々に減っていきます。ところが、高血糖状態が長期に渡り、糖化たんぱくが多い状態が長く続いていると、後期糖化物と呼ばれる悪性の糖化たんぱく物質(AGE)が作られるようになります。AGEが細胞の受容体にくっつくと活性酸素が発生します。このことによって活性酸素は多量に発生することになります。

血糖値を低下させるホルモンのインスリンは膵臓から分泌されていますが、膵臓は活性酸素に侵されやすい器官であるため、高血糖によって機能が低下していきます。膵臓の機能が低下すると、インスリンの分泌量が減るために、ますます血糖値が上昇しやすくなり、活性酸素の発生量が増えるというように悪循環になっていくのです。

糖尿病患者の尿を検査すると、一般の人よりも抗酸化成分のビタミンやミネラルなどの量が少なくなっています。これは体内で多く発生した活性酸素を消去するために、抗酸化成分が使われて減少した結果です。

がんに次いで死亡数が多いのは心疾患(心臓病)と脳血管疾患で、この二つを合わせるとがんに迫る勢いとなっています。実際の死亡ランキングでは第3位は肺炎です。これは高齢化が影響しています。心疾患と脳血管疾患は動脈硬化によって引き起こされるものなので、日本人の死因の第2位は動脈硬化といえるかもしれません。

動脈硬化は加齢によって徐々に起こっていきます。その加齢以上に早く進むのが病的な動脈硬化です。動脈硬化は、動脈の血管壁が硬くなり、弾力性が失われていくとともに、血管の内径が狭くなって血流が低下していきます。

その大きな原因としてあげられているのは、血液中のコレステロールが多くなりすぎる脂質異常症(高LDLコレステロール血症)です。血液中のLDLコレステロールが過剰になると、血管壁に付着しやすくなり、付着した部分の血管壁の細胞は新陳代謝が悪くなり、細胞の再生が遅くなって、血管が徐々に硬くなっていきます。

これと同時に動脈硬化を進める原因となっているのが活性酸素です。

活性酸素は血液中のLDLコレステロール(低比重リポたんぱく)を酸化させます。LDLコレステロールは、細胞膜の材料となり、脂肪を分解する胆汁酸やホルモンの原料となるコレステロールを全身に運ぶトラックの役割をしていて、悪玉コレステロールとも呼ばれています。LDLコレステロールが増えると動脈硬化のリスクが高まることから、悪玉とされているのです。

これに対して血管内で余分となったコレステロールを集める役割をするのが善玉コレステロールとも呼ばれるHDLコレステロール(高比重リポたんぱく)です。血液中のコレステロールを減らすことから善玉とされているわけです。

コレステロールは健康維持に欠かせないものであり、それを運ぶLDLコレステロールも必要なものなので、血液中にLDLコレステロールが多くなっても白血球の一種であるマクロファージが取り込んで処理するようなことはありません。

ところが、LDLコレステロールが活性酸素によって酸化すると変化した酸化コレステロールとなり、これをマクロファージは異物と認識します。そのため、マクロファージは内部に取り込んで処理する貪食を始めます。マクロファージは限界まで酸化コレステロールを貪食すると活動を止めて、血管の内壁に潜り込みます。これが続くと、だんだんと血管壁が硬くなり、内側に盛り上がって血管の内径が狭くなっていきます。これが動脈硬化の大きな原因であり、血管が狭くなって血流が低下するので、全身に影響が出るようになります。

この狭くなり、硬くなった状態で血栓ができると、血管が詰まりやすくなります。血管が詰まると、そこから先には血液が送られなくなって、先の細胞が死んでしまったり、臓器の機能が大きく低下することになります。これが心筋梗塞や脳梗塞の原因です。血栓が詰まったところが脳や心臓の血管であれば、死にもつながりかねません。また、血栓が詰まったところに強い圧力がかかると、血管が破れて大出血が起こることもあります。

動脈硬化はLDLコレステロールが血液中に多くなりすぎることだけではなく、活性酸素によってコレステロールが酸化することが重要な問題であり、活性酸素が体内で多く発生しないようにすることが血管を守ることになる、ということです。

また、活性酸素は血液中に多くあることから、活性酸素そのものによっても血管は傷つけられ、弾力性が失われていきます。これだけでも血流が悪くなってしまいますが、血液中の中性脂肪も活性酸素によって酸化することで血液がベタつくようになり、ますます血流が悪くなっていきます。酸化した中性脂肪はアテロームと呼ばれる粥状の脂肪となって、血管壁に付着することで血管壁の細胞を劣化させていきます。これも動脈硬化の原因の一つとなっています。

血流が低下することは、免疫にも大きな影響を与えます。

がんを抑える免疫細胞の白血球とリンパ球は血液中を流れていて、血流が悪くなると必要なところに駆けつけるのが遅くなります。道路が渋滞していたら、消防車の到着が遅れて、ボヤで消せるはずの火事が全焼にもなりまねません。それと同じようなことが起こって、がん細胞の増殖が進んでいくことになります。血液中にブドウ糖や中性脂肪が増えすぎると血管内が混雑した状態になります。また、ブドウ糖も中性脂肪も血液中で多くなると赤血球をくっつける作用があり、ますます渋滞がひどくなって、免疫が低下していくことになります。

活性酸素を消し去ることは、こういったことを解決するので、健康の維持には欠かせないことがわかるはずです。

日本人の死因の第1位であるがんは死亡率の30%以上を占め、年々増え続ける一方となっています。がん細胞は、もともとは体の正常な細胞です。その正常な細胞の遺伝子が傷つけられることによって異常な分裂を起こすことから細胞のがん化が始まります。

正常な細胞を傷つける原因として最も多いのは、発がん物質です。細胞が正常な状態であれば発がん物質は細胞内には入りにくくなっています。ところが、活性酸素によって細胞膜が傷つけられると、発がん物質は細胞内に入り込みやすくなり、遺伝子を傷つけるようになります。

正常な細胞は、遺伝子に組み込まれた情報によって過剰に増殖しないようにブレーキがかかっています。分裂するのは元の細胞だけで、分裂してできた細胞は分裂することができません。そのため、分裂するたびに1つずつ細胞が増えていきます。

ところが、遺伝子が傷つけられるとブレーキがきかなくなって、分裂してできた細胞も分裂を始めます。そのために、がん化した細胞は2,4,8,16,32,64,128……というように、倍々で一気に増殖していくようになります。

活性酸素は、がんを引き起こす要因ではあるものの、細胞を破壊する作用を利用して、がん治療にも使われています。がん治療に使われる抗がん剤も放射線も、体内で活性酸素を多量に発生させます。

がん細胞は、もともと正常な細胞が異常に増殖したものだけに、細胞膜が弱く、活性酸素によって破壊されやすくなっています。この活性酸素によって、がん細胞だけが破壊されれば問題はないのですが、活性酸素は周囲の正常な細胞も破壊していきます。がん治療は、がん細胞を破壊するとともに、がん細胞を新たに作り出す要因にもなります。そのため、予防段階だけではなく、治療段階になってからも活性酸素を消去することが大切になるのです。

活性酸素は、免疫の一部を担っているといっても、身体に悪影響を与えるほど多量に発生しないようにしたいものです。しかし、それは不可能なことです。

活性酸素が体内で多量に発生する要因としては、過剰な運動、農薬、食品添加物、薬剤、化学物質、排気ガス、タバコ、アルコール、紫外線、電磁波、放射線、体の傷や炎症、水道水の塩素、病原菌の侵入、酸化した食品、ストレスなどがあげられます。私たちは、活性酸素の多量発生を抑えることができない環境の中で暮らしているのです。

1)運動でエネルギー量が増えると発生
活性酸素の発生量が多くなるのは運動をして大量のエネルギーを消費するときで、運動をして吸い込む酸素が多くなり、エネルギーを多く消費するほど発生量は増えます。歩くだけでも平常時(安静時)の1.5倍以上の活性酸素が発生し、軽いジョギング程度の運動をしたときでも、平常時の5倍以上の活性酸素が発生するといいます。

ある教育系大学の卒業生の健康度を長期間にわたって追跡した調査で、文科系学部の卒業生と運動系学部の卒業生の寿命を比べたところ、運動系の卒業生のほうが平均で約6年も寿命が短くなっていた、という報告があります。運動をする人は一般には健康度は高いと考えられていますが、印象とは異なった結果になった大きな理由としてあげられているのが活性酸素の影響です。

運動量が増えるにつれて体内で発生する活性酸素は増えるものの、活性酸素を消去する働きがあるSODなどの抗酸化酵素が作用するためには酸素が必要です。運動をしても最大酸素摂取量の75%ほどに達するまでは抗酸化酵素の働きが高まるので、活性酸素は、それほど多くはならないのです。75%のラインを超えると、活性酸素の発生量は急激に高まっていきます。

2)紫外線を浴びるだけで発生
紫外線を浴びると表皮で多量の活性酸素が発生します。活性酸素の中でも特に毒性が強い一重項酸素が紫外線によって発生します。一重項酸素は表皮の細胞の細胞膜を酸化させて、過酸化脂質を発生させます。この過酸化脂質が、表皮に炎症を起こすとともに、表皮細胞の代謝を低下させて皮膚の老化を進めていきます。

紫外線の害は皮膚だけではなく、目の水晶体にも大きな影響を与え、白内障を起こしやすくなります。白内障は眼球の水晶体が濁って、視力が低下し、悪化すると失明する病気です。紫外線は水晶体に吸収されやすく、紫外線を浴びる量が増えるほど水晶体のたんぱく質が変化して濁るようになります。白内障の一番の原因は老化ですが、原因の20%は活性酸素の影響とされています。

紫外線が水晶体を通過するときに活性酸素が発生して、水晶体のたんぱく質を変性させるので、紫外線を浴びるほど水晶体が白く濁っていくようになるのです。

3)有害物質の分解時に発生
身体にとって害になる農薬、食品添加物、薬剤、化学物質などは、その害を減らすために解毒をする肝臓などに負担がかかります。肝臓は有害物質の分解、解毒のために盛んに働いていますが、肝臓以外の各臓器の細胞も活発に代謝を繰り返して分解、解毒を行っています。そのときに多量の活性酸素が発生します。

アルコールは肝臓に特に負担をかけますが、胃腸、腎臓の負担も高めます。また、アルコールはエネルギー量が高く、熱エネルギーを作り出すときに、活性酸素の発生量が多くなります。

有害物質が体内に入ってくると、これらを白血球が取り込み、白血球は活性酸素を使って破壊、無害化していきます。破壊したあと白血球は次の有害物質を取り入れていきますが、このときに活性酸素が白血球から漏れ出て、体内の活性酸素を増やしていきます。有害物質が多いほど、白血球が破壊するほど活性酸素が増えていくわけです。

4)粘度の高い物質で白血球が働きすぎる
白血球は有害物質を破壊するときに活性酸素を発生させますが、粘度が高いタバコのタールなどは白血球の中に残りやすく、これを処理するために繰り返し活性酸素を発生させます。そのためにタバコを吸うと活性酸素が大きく増えてしまいます。

5)浸透性の波長が細胞を直撃
紫外線、電磁波、放射線は身体の中に浸透する特徴をもった波長で、細胞へと直接届き、細胞を傷つけていく作用があります。細胞が破壊されるときには活性酸素が多量に発生して、近くの細胞を次々に破壊していきます。

6)ストレスは血流を乱す
ストレスが高まると、呼吸数と心拍数が増え、血圧が上がり、末梢血管が収縮する、といった身体の変化が起こります。ストレス状態は自律神経の交感神経の働きを活発にさせます。交感神経の働きが活発になって、興奮状態になったときには全身の働きが活発になり、活性酸素が多く発生するようになりますが、中でも特に活性酸素を発生させるのは末梢血管の収縮です。血管が収縮すると血液の流れが一時的に低下します。そのあとに元の状態に戻って血流が急に高まるときに活性酸素が多量に発生します。

7)糖尿病の糖化で活性酸素が発生
血液中のブドウ糖(血糖)の量が過剰に多くなり、高血糖状態になったときには、糖化たんぱくができるようになります。赤血球の酸素を運搬するヘモグロビンはブドウ糖が多い状態では糖化して、ヘモグロビンA1cに変化します。この変化するときに活性酸素が多量に発生します。また、糖尿病では高血糖の影響によって血管の細胞にブドウ糖が浸透するようになり、浸透したブドウ糖は糖アルコールに変化します。細胞は水分量が一定のときに正常な代謝が行われます。ところが。糖アルコールが多くなった細胞は新陳代謝が正常に行われなくなるため、高血糖状態では血管の再生が遅れて、弾力性が徐々に失われていくようになります。そのため血流が低下して、血流が再び戻るときに活性酸素が多量に発生するようになるのです。

8)太っているだけで活性酸素の発生量が増える
メタボリックシンドロームと診断されるほど太っている人は、活性酸素が常に多量に発生しています。身体には恒常性機能があり、常に元に戻ろうとする力が働いています。脂肪細胞に必要以上に体脂肪が多く蓄えられているのは、正常な状態ではないので、体脂肪を減らそうとします。そのときにストレスホルモンのアドレナリンが分泌されます。
この脂肪細胞に蓄えられていた脂肪酸が血液中に放出され、それを代謝させて減らすときにもアドレナリンが作用します。アドレナリンによって筋肉細胞内では脂肪の代謝が盛んになります。その盛んに脂肪が代謝しているときに、活性酸素が多量に発生します。

私たちの身体には病原菌などの外敵と闘う免疫システムが備わっています。免疫細胞の白血球とリンパ球が、その代表的なものですが、もう一つ重要な免疫システムがあります。それが活性酸素なのです。

細菌などが身体の中に入ってきたときに、その近くに活性酸素があると、活性酸素は細菌の細胞膜から電子を奪い取ります。電子を奪い摂った活性酸素はプラスとマイナスの電子のバランスが取れて、正常な酸素に戻っていきます。マイナス電子を奪われた細胞の細胞膜は、細胞の中からマイナス電子を移していって細胞膜を維持しようとします。次々と電子が移っていって、細胞の中心部にある核のマイナス電子が奪われると、その細胞は働きが止まり、破壊されます。

活性酸素というと、悪玉のイメージが抱かれがちですが、適度な量の活性酸素は身体の健康を守るために必要なものなのです。

ところが、活性酸素が体内で多量に発生すると、細菌などからだけではなく、自分の身体の細胞からもマイナス電子を奪うようになります。活性酸素の発生によって核を破壊された細胞の破壊は一つだけでは終わりません。マイナス電子が欠けている限りは、次々に隣の細胞から電子が奪われていって、ドミノ倒し式に細胞が破壊されていくことになります。

身体の中には、活性酸素が多量に発生したときに、電子のバランスを元に戻して、活性酸素を消し去る働きをする酵素が備わっています。その酵素の代表的なものはSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)です。

細胞レベルで見ると、細菌や病原菌なども人間もほとんど構造に変わりはなく、細菌などを壊すメカニズムは、そのまま人間の身体にも通じます。違っているのは、人間は細胞の数が約60兆個と非常に多く、細胞が破壊されて身体に影響が出るまでには長い期間がかかるということです。

細胞が破壊されたところが血管であれば血管が傷ついていくことになります。血管が傷つけられると弾力性が徐々に失われていって動脈硬化になりやすく、また血流も低下するようになります。全身の細胞に新鮮な酸素と栄養素を運び、細胞の老廃物を運び去ることによって細胞の新陳代謝を高めているのは血液です。血管が傷んだために起こる血流の低下は、全身の細胞の老化を進めていくことになります。

血流が低下すると、全身の細胞に血液を早く送って、酸素と栄養素を補給するために自律神経が反応して、血圧が上昇します。血管が傷ついているところに血圧が上昇したら、動脈硬化が促進されてしまうことになります。

活性酸素によって細胞が傷つけられると、発がん物質などの有害物質が細胞内に侵入しやすくなります。そのために細胞が、さらに傷みやすくなり、細胞の働きが正常に保たれにくくなります。

活性酸素によって破壊されたのが膵臓や肝臓などの細胞であれば、その器官の機能が低下していくことになります。中でも膵臓や腎臓などは活性酸素に弱い臓器であり、活性酸素が多く発生するほど、機能も低下しやすくなっています。さらに、活性酸素による細胞の破壊が続くと機能の低下が広がって、がんや糖尿病などの生活習慣病が引き起こされるようになるのです。

私たちが生きていくためには呼吸によって酸素を体内に取り込むことが必要です。酸素は健康に役立つものではあるものの、吸いこんだ酸素のうち2~3%は身体に悪影響を与える活性酸素になります。

活性酸素は、今でこそ「体をサビさせるもの」「病気の原因になるもの」として知られるようになりましたが、活性酸素がテレビや雑誌などで紹介されたばかりのころは、「酸素は身体に必要なもので、それが活性するのだから健康によいものではないか」と考える人もいたものでした。

人間が活動するための生命エネルギーは三大エネルギー源と呼ばれる糖質、脂質、たんぱく質から作り出されています。そのエネルギーが作られるときに酸素が必要となります。例えば、糖質はエネルギーとなるブドウ糖となってから燃焼しますが、酸素なしではブドウ糖1分子から2分子のエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られるだけです。

人間の身体を構成している細胞は60兆個以上もあり、それぞれの細胞の中にはミトコンドリアという小器官が数多くあります。このミトコンドリアの中では、ブドウ糖が酸素と反応して燃焼して、生命維持に欠かせないエネルギーを作り出すTCA回路があり、酸素を用いることでブドウ糖1分子から36分子ものATPが作り出されます。

ミトコンドリアは、よく火力発電所にたとえられます。火力発電所でエネルギー源を燃やして電気を作るときに燃えカスの産業廃棄物が発生します。活性酸素も、これと同じように、生命維持のためのエネルギーを作り出したときの産業廃棄物ということができます。

活性酸素には、「スーパーオキサイドラジカル」「ヒドロキシルラジカル」「過酸化水素」「一重項酸素」の4種類があります。発生の仕方や毒性などに違いはあっても、同じ特徴を持っています。それは、電子のバランスが崩れていることです。

一つの酸素は、通常はプラスの電子が4個、マイナスの電子が4個で対の形になってバランスが取れています。このバランスが崩れて、マイナスの電子が1個欠けたものが活性酸素とされています。

酸素と活性酸素の違いは、電子1個という、ほんの少しだけの違いでしかありませんが、その違いが身体の中で大きな変化を起こしているのです。

健康食品や食品の医薬品的な効能効果を述べることは、規制する法律や通知・通達によって禁止されています。その法律を管轄するのは厚生労働省、経済産業省、消費者庁などで、省庁や出先機関が規制や取り締まりに動くのが通常ですが、それ以外のところが取り締まりに動くことがあります。その代表は警察です。

規制をする各省庁はいきなり踏み込んでくるようなことはしないのが通常のことで、よほどの重要な違反でない限りは、調査、注意、指導があって、それでも改善されなければ厳しい取り締まりが行われるのが一般的な手順です。そのために調査が入るまで、注意がされるまでは同じ手法で売り続けるというのが販売事業者に多く見られることです。

ところが、警察の場合は健康食品に関わる法律とは異なる理由で動きます。そして、警察には逮捕権があって、怪しいと感じたときには先に強い取り締まりをして、罪状を明らかにしていくということができるからです。

逮捕だけでなく、商品や経理書類、場合によってはパソコンまで証拠品として持っていかれることもあって、顧客に連絡がつかなくなるなど仕事ができない状況も起こります。
なぜ、そのようなことになるのかということについては、指導や講習を実施した先に対して不誠実なことにもなるので、一般には明らかにしにくいことではあります。

警察に限ったことではないのですが、取り締まりが行われるきっかけはチクリが多くなっています。チクリは先が尖ったもので刺されることにたとえられる告げ口、密告のことですが、健康食品の取り締まりの場合には痛みの程度がグサリというダメージにもなりかねません。

脅かすわけではないのですが、チクリだけで仕事に支障が起こることも知っておいて、事前の対応を取ることが必要だということを指導先に話しています。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕

これをすれば必ずよくなると言えれば、多くの人の信用が得られるところでしょうが、発達障害は個人差が大きく、同じ状態であったとしても各人の感覚の違いが影響してくるので、絶対に大丈夫ということが言えない難しさ(もどかしさ)があります。

それは栄養摂取という毎日の実践でも同じことで、不足している栄養素がわかり、それを補ったからといって、すぐに結果が現れないことは普通にあることです。前日はよい結果だったのに、今日は違っているということもあって、それは栄養摂取が栄養しているのかと疑問を抱かれることもあります。

前回は神経伝達物質のセロトニンについて触れましたが、セロトニンは材料である必須アミノ酸のトリプトファンを摂っていれば、脳内で多く作られるわけではありません。体内の合成量としては腸内が90%ほどを占めています。そのために、腸内環境を整えることが重要ということで、そのために摂取すべきもの、環境を整えるための生活法などが広まってきています。

ところが、セロトニンについて書かれている書籍を見ると、脳で合成されると書かれています。脳なのか腸なのかの議論も起こるところですが、腸内で多くが合成されているのは事実です。しかし、セロトニンは脳細胞に余計なものを通過させないための血液脳関門を通過することはできません。

トリプトファンか、そこからセロトニンに変化する途中の状態(前駆物質)でないと血液脳関門は通過できないのです。だから、腸で多く作られるのも正解であり、脳で合成されるのも正解ということになります。

セロトニンが同じように作られたとしても、それを消費する人の必要量や疲労度によって、足りているのか、それとももっと必要なのかは違ってくるので、これだけの条件を整えれば大丈夫と言えないのが難しいところではあります。
〔発達栄養指南:小林正人〕

食物アレルギーがある子どもは、アレルギー物質を避けるのが第一の対策ですが、いつまでも避けているわけにはいかないので、タイミングをみて少しずつアレルギー物質に慣れさせることも必要だと言われます。

そのタイミングへの考えは専門家でも分かれています。一般には免疫が高まってからがよいと考えられていますが、アレルギー物質と巡りあう時期が遅れると悪化しやすくなります。というのは、アレルギーを起こす物質を口から取り込む時期が遅れると皮膚からの侵入が先になって、身体に備わった免疫機能が働きにくくなってしまうからです。

そのことに関わっているのはTレグ細胞という免疫細胞です。Tレグ(reg)細胞は制御性T細胞とも呼ばれていて、免疫反応を抑える機能を持っています。アレルギー疾患だけでなく、炎症性疾患、自己免疫疾患を起こす過剰な免疫反応を抑制しています。

そのために、食物アレルギーを起こすと、他の免疫反応も過剰に起こりやすくなります。だから、食物アレルギーは早めに治しておくようにすべきだとされています。

アレルギーは免疫の働き過ぎによって起こるもので、本来なら反応が起こらないようなアレルギー物質の量であっても閾値を超えるようになります。閾値というのは、反応を起こさせる最小の量のことで、普通なら反応が起こらないような量であっても反応してしまう状態は「閾値が低い」と表現されます。

食物アレルギーを起こす成分は、口から入ってくるだけでなく、皮膚に触れることでも体内に入っていきます。口から入ったときにはTレグ細胞が働きやすくなるのに対して、皮膚から入ってきたときにはTレグ細胞が働かずに、アレルギー反応が激しく起こることになります。

まさに免疫がないのと同じ状態で起こるのですが、特にアレルギーが激しく出るのは皮膚が荒れているときです。食物アレルギーによって皮膚のアレルギーが起こると以前には考えられていたのですが、今では皮膚のアレルギーが引き金となって、食物アレルギーが強く出て、治りにくい状態になってしまうのです。