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厚生労働省から「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的な考え方」という通知が出されたときに、その審議の席に参加していました。今から20年前(2002年)のことです。そのときに入手しておくように求められたのが健康食品販売会社のリストでした。

これは健康食品の業界紙が年鑑として発行していたもので、当時は約5000社の販売事業者が掲載されていました。これを借り受けるときに編集担当者から毎年の入れ替わりについて説明があり、リスト掲載の会社に翌年のための調査票を送ると20%は戻ってくると聞きました。つまり、1年間で1000社がなくなっているということですが。新規掲載も同数があり、全体の20%ほどが入れ替わっている特殊な世界だということがわかりました。

この結果はアドバイザリースタッフの通知には関係がなかったのですが、これを受けて検討されたのが健康食品業界への規制の強化でした。廃業などをする会社、新たに参入する会社は体制的にも商品にも弱いところがあり、間違いを犯しやすいので、厳しく対処すべきという考えが示されたのです。

撤退をするすべての会社が経営や商品に問題があるわけではなく、また新規参入をする会社も法律に疎いとは限らないものの、長年販売を続けてきた会社よりも厳しい目で見ようと考えるのも当然の対応といえます。

当時は、店舗での販売のほかに、通信販売といっても新聞や雑誌などの広告が主でしたが、今ではテレビ通販が増え、ネット販売も盛んになっていることから、個人レベルの販売を加えると、どれくらいの数になっているか実態を把握するのは困難なほどです。健康食品業界では約2万社と推定されていますが、それだけ法規制を知らないまま販売している例は増えていることから、ますます規制は厳しくなり、末端の会社までを取り締まるように規制側の対応が変化しているのも事実です。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕

食物アレルギーがあると、それを少しずつ摂取することで克服させようとする指導がされることがあります。定型発達(発達障害でない)の子どもであれば、アレルギーが出ても大きな影響がない量を摂取することで抵抗力をつけていく方法が有効になることもあります。そして、アレルギーを起こす物質が含まれている食品でも、徐々に摂取していくことで、食品の栄養成分によって抵抗力をつけることも可能となっています。

ところが、発達障害の場合には、アレルギーの記憶が薄れずに、アレルギーを経験した食品が食べられなくなり、食品の栄養素による有効性を得ることができないということも起こりがちです。

アレルギー物質を除去するのが改善の最善の手段とされた時代もあります。アレルギー物質さえ摂らなければアレルギーは起こらないという発想ですが、アレルギー物質を避けるために、ある特定の食品は何も食べられないということもありました。肉類では、アレルギーを起こすものを外していったところ、カエルやヘビなどしかないという不幸なことも過去にはあったのです。

現在では免疫学の研究が進み、過剰な免疫反応を抑制するTreg細胞(制御性T細胞)の働きが解明されて、免疫機能が正常であれば、少量ならアレルギー物質を摂取しても対応できる仕組みがあることがわかりました。

ただ、Treg細胞の働きが低下する条件があることもわかりました。それは疲労、睡眠不足、ストレス、かぜ、生理、温度や湿度の変化、医薬品、花粉などで、これらを避ける生活がすすめられているものの、発達障害児はストレスが強く、自律神経の調整が乱れやすいことから、Treg細胞の働きが充分でないことが指摘されています。
そのため、定型発達児よりもアレルギー物質への配慮が重要になっているのです。

ストレスは血糖値を上昇させる要因であることが知られています。その要因を簡単に説明すると、ストレスを起こすような状態から逃げ出すためのエネルギー源として、多くのブドウ糖が必要になるからです。詳しいことは最後に示しますが、その前提としてのメカニズムを紹介します。

副腎皮質刺激ホルモンは、インスリンの拮抗ホルモンでもあり、過剰な分泌によってインスリンの分泌が低下することで血糖値(血液中のブドウ糖の値)が上昇しやすくなります。身体的ストレスが高まっているときには、ブドウ糖が多く消費されているため、ストレスが続くとブドウ糖が不足した状態になります。

そのときに甘いものを少し食べたり、糖分が含まれた飲み物を飲むといったことができないと、体内ではブドウ糖を補って血糖値を上昇させる危機回避の反応が起こってきます。

食事によって身体に入ってきたブドウ糖は、血液中で一定量を保つために使われるものと、エネルギーとして使われるものを除いて、筋肉や肝臓にグリコーゲンとして蓄えられます。さらに余ったものは肝臓で脂肪酸になり、中性脂肪に合成されて、脂肪細胞に保存エネルギーとして蓄積されます。グリコーゲンは、ブドウ糖が数多く結びついたもので、血液中でブドウ糖が不足したときには、ブドウ糖に分解されて、血液中に放出されます。

ストレスが高まったときには、その状態から脱するために緊急のエネルギー源としてブドウ糖が血液中に大量に放出されます。走って逃げ出すような状況であれば、そのブドウ糖を消費することができるものの、身体的なストレスが強くても、それほど消費エネルギーが多くない場合には血液中にはブドウ糖が多く残ります。そのため、血糖値が上昇した状態が長く続くことになり、これによって糖尿病のリスクが高まっていきます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

「健康食品は敵なのか味方なのか」と聞かれることがあります。聞いているほうが知りたいことは2つあって、1つは有効性で、もう1つは法律に関することです。

有効性ということでは、研究に基づいて開発された健康食品には健康効果があり、それは健康面ではプラスになっているという認識があります。その一方で、危険性もあって、有害性がある物質の混入、有効成分の摂りすぎ、医薬品との飲み合わせといったデメリットもあります。

有害物資や医薬品成分が含まれているのは論外としても、健康のためによいはずの食品成分が複数組み合わさることで、また医薬品との相互作用によって健康被害が起こることもあります。しかし、その実態は多くの消費者に知らされていなくて(販売事業者でも知らないことがある)、健康によいつもりで摂取していて、期待とは逆のことが起こることもあるのです。

これについては、健康食品は選び方、使い方を誤ると健康づくりの敵にもなりかねないということで、「敵にならないように上手に味方につける」という答えをしています。

法律に関することというのは、健康食品を規制する法律のことです。このことは同時に書き始めた「健康食品の法規制」の中でも触れているのですが、健康食品に関する単独の法律がないことから食品表示法、食品衛生法、健康増進法、医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)、特定商取引法を組み合わせて規制が行われています。

これらの法律に基づく規制は、健康食品を買って使う消費者を守るためのものとされていて、この法律に関するコンサルタントは事業者を守るためなのか、それとも消費者を守るためなのか、という質問です。

私の答えは、法律に関しては両方の味方です。素晴らしい健康食品を製造・販売していて、愛用者にも喜ばれているのに法律の知識が不足していたために規制を超える表示をして販売ができなくなった例を数多く知っています。そのようなことにならないために、健康食品に関連する法律を覚えてもらい、的確に運用する方法をアドバイスしているのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕

健康食品は、通常の一般の食品とは違って、販売に関して、さまざまな規制がかけられています。それは健康食品には法的な定義がないからです。医薬品以外の経口的に摂取される(口から摂る)もので、健康の維持や増進に役立つことをうたって販売されたり、そのような効果を期待して摂る食品全般を指しています。

定義がないのは健康食品に関する単独の法律がないからで、複数の法律を組み合わせて、さまざまな規制が行われています。

単独の法律があれば、その中で規制されていることだけを守ればよいことになるのですが、複数の法律によって規制されていることで、どの法律を優先させればよいのか、どこまで厳しく接すればよいかが非常にわかりにくくなっています。そのために販売事業者であっても、理解が不十分であり、また誤って理解したために違反の意識がないままに違反を犯しているという例も少なくありません。

また、規制する法律を所管する官庁が異なることがあることも、守るべき規制を複雑にしているところがあります。

健康食品を規制する法律は、食品表示法、食品衛生法、健康増進法、医薬品医療機器法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)、特定商取引法があります。

これらの法律に基づいた規制の通知・通達も、以下のように数多くあります。

無承認無許可医薬品監視指導マニュアル、食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)、食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項、特定商取引に関する法律第6上の2等の運用指針(不実勧誘・誇大広告等の規制に関する指針)、健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について、機能性表示食品の届出等に関するガイドライン、機能性表示食品に対する食品表示等関連法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針、食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン、食品表示基準Q&A。

これだけの法律と規制の通知・通達があり、法関連文書のために理解しにくく、これを熟知することは非常に難しいことです。そのために誤った理解をして、規制の対象となって製造・販売ができなくなる事業者も少なくないのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)と健康増進法による健康食品の虚偽誇大表示についての規制は、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法の上の留意事項について」に掲載されています。この留意事項の改訂版が消費者庁から公表されたことから(令和4年12月5日)、その改定された部分について、景品表示法上と健康増進法上の表示について解説をしています。

顧客を誘引するための手段として行う広告その他の表示として、以前から以下のようなことが掲げられていました。

『広告その他の表示において、具体的な商品名が明示されていない場合であっても、そのことをもって直ちに景品表示法及び健康増進法上の表示に該当しないと判断されるものではない。商品名を広告等において表示しない場合であっても、広告等における説明などによって特定の商品に誘引するような事例が認められるときは、景品表示法及び健康増進法上の表示に該当する。』

『例えば、特定の食品や成分の健康保持増進効果等に関する書籍や冊子、ウェブサイト等の形態をとっている場合であっても、その説明の付近にその食品の販売業者の連絡先やウェブサイトへのリンクを一般消費者が容易に認知できる形で記載しているときは、景品表示法及び健康増進法上の表示に当たる。』とされています。

これに新たに、次のことが追加されました。

『特定の食品や成分の健康保持増進効果等に関する広告等に記載された問合せ先に連絡した一般消費者に対し、特定の食品や成分の健康保持増進効果等に関する情報が掲載された冊子とともに、特定の商品に関する情報が掲載された冊子や当該商品の無料サンプルが提供されるなど、それら複数の広告等が一体となって当該商品自体の購入を誘引していると認められるとき』

『特定の食品や成分の名称を商品名やブランド名とすることなどにより、特定の食品や成分の健康保持増進効果等に関する広告等に接した一般消費者に特定の商品を想起させるような事情が認められるとき』

このような広告やその他の表示は、景品表示法及び健康増進法上の表示に当たって、規制の対象になるということです。

健康づくりの活動をしていると、おいしいところ、つまり目立つこと、成果が出やすいこと、他人から褒められることを率先してやろうとする人が出てきます。誰しも、同じ時間をかけて、同じ労力をするなら、よりメリットがあることをしたがる気持ちがあることは認めます。そういったメリットに対するモチベーションがあるから積極的に取り組んでくれるというのは間違いがないことです。

しかし、みんながおいしいところを求めたら、それ以外の肝心な部分が手付かずになってしまうことにもなります。おいしいという言葉を、味としておいしいということに置き換えて考えてみると、思い浮かべるのは端羊羹(はしようかん)です。

子どものときに母の実家の寺に預けられていたときに、近所の子どもたちからは、おいしい饅頭が食べられる、貴重品だった羊羹が食べられることを羨ましがられたことがあります。寺に饅頭はつきものであっても、葬式や法事がないときには饅頭があるわけではありません。

あるときでも、お客様が優先で、子どもに回ってくるのは時間がたったもので、すでに固くなったものがほとんどです。それを天ぷらにして温めて食べるということを子どもの知恵としてやっていました。

羊羹は時期に関係なくあったものの、お客様に出すのは真ん中のよいところで、子どもが食べられるのは切れ端の端羊羹でした。今の羊羹なら両端の形が整わない部分でも味に変わりはないのですが、当時の羊羹は端に砂糖が固まっているようなものでした。甘いものに飢えている子どもなら喜んで食べたでしょうが、甘すぎて食べにくいものではありました。

それでも何も食べられないことに比べたら贅沢といえることでしたが、端羊羹を食べて、空腹を解消して、寺の手伝いをする、それはおいしい部分の羊羹をお茶とともに出すことであっても、喜びとしてやっていました

それと同じように、おいしいところは、それを望む人にやってもらって、足りないところを手助けする端羊羹の発想で取り組むようにしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

今では発達障害によって偏食が起こり、中には極端な偏食もあって、通常の方法では対応できないことも随分と知られてきました。

すべての子どものうち発達障害児が10人に1人は存在することが知られるようになってから、極端な偏食についても理解が進み、無理に食べさせようとすると悪影響を与えて、かえって食べられなくなることも理解されるようになってきました。

発達障害は生涯に渡って特性が続くことから、対応を誤って食べにくいものを食べられないものにすることがないようにしなければならないのですが、なんとか栄養を摂取させて成長させようと思うあまりに、生涯に渡って食べられない状況を作り出すことにもなりかねません。

発達障害児の極端な偏食も、成長すれば治ってくると考えられることもあります。実際に年齢を重ねるにつれて野菜が食べられるようになった、苦手な肉類がなくなったという話は聞きます。そのことから、「今は心配をしないで食べられるものだけを与えておけばよい」ということを話す方もいます。それが発達障害児を育てた保護者の言葉であると、真実味をもって感じるかもしれません。

しかし、成長をして食べられるようになったのは、発達障害児の極端な偏食ではなくて、単なる好き嫌いであったり、子どもが嫌うからといって親などが食べさせてこなかったために慣れていないだけということも少なくないのです。

それを極端な偏食を克服したといって、他の保護者に押しつけるようなことも、よく見られることです。

まだ発達障害という言葉もない時代のことですが、小児肥満の改善のために国立病院のチームに加わったときのこと(国立病院の管理栄養士のOBが代表の研究所に所属してことから参加)、栄養指導をしても成果が現れにくい子どもが10人に1人ほどいて、しかも男女比は、対象を変えて何度も調査しても男児7対女児3くらいの割合になっていました。

今にして考えると、発達障害の割合と同じなのですが、そのときは好き嫌いの範疇の偏食と栄養の専門家も考えるような状況でした。

発達障害が医学的に明らかになり、食事の特性もわかるようになってきましたが、栄養面での改善の手立ては歩みが鈍くて、いまだに私たちが発達障害を知らない状況の中で手探りで対応してきたのと同じような状況が続いていると感じています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

今でこそ日本人は長生きになりましたが、かつては先進国の中では短命な国でした。

日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳(2022年)ですが、77年前の終戦から2年を経て、戦後初めて発表された昭和22年の平均寿命を見ると、男性が50歳を超えて、男女ともに50歳を超えた記念すべき年でした。

そのときから比べると30年以上も平均寿命が延びています。第一子の出産年齢は30.9歳(2021年)なので、一世代分の年齢が延びたことになります。それだけ次の世代に“何か”を伝えるための時間が確保されました。

ただ長生きになっただけでなくて、健康面でも向上しています。日本老年学会と日本老年医学会は、高齢者の定義を65歳以上から75歳以上にすることを提言しました(2017年)。65歳から74歳は准高齢者として、75歳以上を高齢者と分類するもので、准高齢者は支えられる側ではなくて、むしろ高齢社会を支える人材となるべきだとしています。

その根拠ですが、医学的な調査で、10〜20年前に比べて10年ほども健康度が高まっていることがあげられています。

この提言があった時期の日本老年学会と日本老年医学会の理事長は、私が所属していた日本未病学会の初代理事長で、東京大学病院副院長から虎の門病院院長へと移動する前後のことでした。

定年退職をして、自由になる時間が増えた分を社会に貢献してもらいたい、これまでの経験を次の世代に伝えて、社会的にも経済的にも日本を上昇させる原動力になってもらいたいというのが、65〜74歳人口が1740万人にもなった日本の将来を考えると心から望みたいことです。

そして、こういったことを常に意識して倫理を学び、実践に取り組みたいと考えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕

ダイエットというと、「やせる」とか「食事を減らす」といった意味だと思われたり、中には「食べるのを我慢する」と考えている人もいます。しかし、ダイエットの元々の意味には「やせる」という意味すらありません。

ダイエット(diet)は、方針、作戦、戦略といった意味があり、国の方針などを決定する国会は英語で「The Diet」となっています。東京メトロの「国会議事堂前駅」の英語表記は「National Diet Bldg.」です。国が主催する痩身のためのダイエットのビルではないのです。

ダイエットが方針、作戦、戦略という意味から食事の面でも使われるようになり、健康のための正しい食事療法を指すようになり、そこから正しい運動療法がダイエットを指すようになりました。

正しい方法というのは身体の仕組みに合わせた生命科学的な方法を指していて、無理をすることなく、しかも無駄なく目的とした結果が出せるのがメディカルダイエットです。人間の身体は猿人からピテカントロプス(ジャワ原人)に変わったときから、環境に合わせて大きく変化しました。

大自然の環境という大原則に従って生きていくことを示すのが生命科学の基本で、それに従った生活をすれば、やせたい人はやせられる、逆に太りたい人は健康的に太ることができるということです。

ダイエットは知っただけでは目標に近づくことができないのと同じで、倫理を勉強したからといって大自然の法則に沿った生き方をすることはできない、つまり結果が出せないというのは当然のことです。

倫理をダイエットにたとえるのが適切ではないだろうということは理解しているつもりですが、私たちの「無理なく無駄なく」というモットーと合致するところがあるのではないか、ということを倫理を勉強させてもらいながら感じたので、コラムに書いて残したところです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕