お役所の足の引っ張り合いは昔から言われることですが、全員が定年退職まで在職できるという地方公務員のような条件であれば、そんなに足を引っ張るようなことはないはずです(ないと信じたい!)。
ところが、足の引っ張り合いは当然のことで、同期の人間の出世を少しでも遅らせたいというのは霞が関のお役所では普通に見られることでした。
公務員は失敗をしても、犯罪行為でもなければ馘首になるようなことはありません。いちいち責任を取らされていたら、真剣に仕事をする役人がいなくなってしまうと考えられているからです。
霞が関の本省の最高責任者は事務次官で、事務次官が力を振るって仕事をするためには、先輩や同期は邪魔な存在にもなりかねません。そこで事務次官が代わったときには、同期も先輩も本省から別の組織に出向になるか、天下りをすることになります。あまりに出世が早い同期や後輩がいたら、足を引っ張るということが当たり前で、出世が早い人は、そんな心配もしながら仕事をしていくことになります。
知人のお役人は幸いにして、足を引っ張られても順調に出世をして、2つの役所が合併したときの初代の事務次官になったことから、随分と引き上げてもらえました。それはよかったのですが、お役所の下請け仕事を一緒にやることになった人から、私が足を引っ張られるということがありました。お役所から早期の出向で送り込まれてきた人は、成績をあげることで次の天下り先が確保できます。別の組織に移るたびに退職金がもらえたり、よい条件での天下りがあるからです。
そのために、一生懸命になって仕事が成功するように協力をしてくれるのですが、私への注目が高まりすぎると、徐々に邪魔をする行動が目立ってきます。自分の成績にならない、評価が下がるようなことにならないように、適度な成功で終わらせることに力を注ぐという人と対抗するのは大変なことでした。それに比べれば、今の地方に移ってからの地域のお役人出身者が妙なことをしてきても、実に大したことではないというのが今の感覚です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)






