あくまでも噂話15「正気の沙汰も金次第」

組織づくりが得意というか大好きな先生がいます。その先生というのは医師なのか作家なのか、それとも別の世界なのかは明らかにはしないで書いていくことにしますが、どの世界にも同じようなことをする人はいるようで、別の業界からも同じ話を何度か聞いています。
共通しているテーマは「人格と金とは別」という話で、社会的に立派なことをしている人は、お金にも綺麗だと思いがちですが、そうではなかったという話題です。私たちが経験したのは些細なことかもしれませんが、お金では苦労させられました。
同じ業界の人が集まって、社会的な仕事をしたり、自分たちの地位を保つ活動をするために団体を作るのは、よく行われることです。その先生は多くの団体の会長や理事長、役員を引き受けていて、どの団体からも固定のお金は受け取っていませんでした。それどころか各団体の事務局に、自分で借りた事務所を使ってもらっていました。
その先生から経費的に大変だという話があって、東京で独立したばかりの私たちの事務所を間借りの形で使ってもらいました。その先生に来てもらうと人脈ごと来てもらうことになり、当時は雑誌やテレビにコンテンツを数多く入れていたので、私たちにとっても執筆者、監修者が近くにいるので便利だという気持ちもありました。先生たちに原稿料、企画料、監修料などを支払う仕事では、私たちも一部は利益が得られるので家賃や事務所の使用料は取っていなかったのですが、団体の人たちがあまりに自由に出入りして、自分たちの事務所のように勝手に使うのは気になっていました。
先生というのは、そういうものかと思ってもいたのですが、その中で親しくなった先生の一人から飲みに誘われることがあり、支払いはすべて当方持ちということがありました。
もう一軒といって高い店に行こうとするので、渋っていると、「高い家賃を取っているからいいでしょう」と言われました。その言葉に疑問を抱いて聞いてみたところ、先生は各団体から事務所使用料を取っていて、それに自分の分を上乗せして家賃を払っているという説明をしていたというのです。私たちの事務所を無償で使って、利益をあげていたということですが、そのことを知った人が驚くのかと思ったら、「ああ、やっぱり」と言ったのには驚かされてしまいました。
しかし、普通ではできない団体づくりを「正気の沙汰」としてやってくれているので、気にしないようにしていました。
しかし、他でも同じようなトラブルを起こして、そのために団体が解散したり、役員から下ろされることがあって、私たちのところから離れていきました。そんな経験をしてから、自分たちの戒めとして「正気の沙汰も金次第」という諺(ことわざ)をもじった言葉を使うようになりました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)