あくまでも噂話19「最重要の個人情報」

心臓弁膜症のテレビCMが盛んに放送されるようになり、その恐ろしさと、早期発見と早期治療の重要性が認識されるようになってきました。しかし、それは心臓弁膜の老化や弁の異常によるもので、それ以外の心臓弁膜症については、なかなか報道もされていません。そのため、診断名が心臓弁膜症だというと、手術が必要で、もう通常の仕事ができない状態とも思われかねません。
だから、問題のない心臓弁膜症であっても隠そうとするのは当たり前の反応で、病名は最重要の個人情報として保護されるべきであるのに、面白話題として話してしまう人がいて、迷惑を被っている人も少なくありません。
そのため、あえて誰の話であるかということは触れないで書き進めていきますが、心臓弁膜の開閉の情報は洞結節という電気信号によって行われています。心臓は大静脈から入ってきた血液が右心房、右心室、左心室、左心房の順番で送られ、その後は大動脈に送り出されます。洞結節は右心房の上大静脈接合部にあって、自然のペースメーカーとして心臓を動かす司令塔の役割をしています。
弁は信号が来ると収縮して、信号が来ないと弛緩します。弁が収縮して心臓の拍動が起こると弁が閉じて血液は先へと送られていきます。左心室と左心房の間にあるのが僧帽弁で、これがしっかりと閉じられることで心臓から血液が大動脈に送り出されるわけですが、僧帽弁閉鎖不全になると血液の一部が左心房に逆流して、送り出される血液量が減り、血流の勢いも弱まります。ちなみに僧帽弁というのはカトリックの司教が被っている冠と形が似ていることから名付けられました。
僧帽弁閉鎖不全は電気信号の全体的な遅れだけでなくて、電気信号の一部がバイパスを通って遅れて来るために僧帽弁が完全に閉じないことがあり、そのまま拍動が起こることがあります。老化や弁の異常による僧帽弁不全症なら手術で治療することができるものの、電気信号の遅れは治しようがありません。
ただ、血流量が少ない、血流の勢いが弱いためにテンションが高まりにくい、脳の後頭葉の血流が低下するためにときどき起こる閃輝暗点で視界にモザイクが出て見づらいことがあっても我慢するしかないという、他の人にはわからないことを抱えたまま過ごすしかないという状態なのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)