寒暖差が大きいほど果物の糖度が高まるということは広く知られています。この事実を上手に使って、「夏は暑く、冬は寒い地域なので甘い果物が育つ」ということを標榜している地域もあるのですが、それは間違いといえます。
果物にとっての寒暖差は“昼夜の寒暖差”であって、果物が成長する季節の1日の寒暖差が重要になります。
果物は昼間に光合成で糖分を作り出しているので日照時間が長く、暖かい環境で糖分を増やしていきます。ところが、夜間も暖かいとエネルギー代謝に糖分が使われることから糖分が減っていくことになります。
夜間のエネルギー代謝は一般には呼吸と表現されていて、夜間の呼吸が抑制されることによって高まった糖度が下がりにくくなります。これが甘く、おいしい果物を育てる好環境として“昼夜の寒暖差”が重視される理由です。
また、昼夜の寒暖差が大きいほど身が引き締まって、糖度が高くなることも理由としてあげられています。
色の濃い黒系・赤系のブドウは、太陽光を多く浴びることで着色が進んでいきます。この色がブドウに含まれる抗酸化成分(ポリフェノール)ですが、寒暖差が小さいと着色が不良になります。
季節によって果物の最盛期は異なっているので、昼夜の寒暖差がある時期と合致していないと、せっかくの環境が活かせなくなります。
よく例に出される岡山県の桃とブドウは、昼夜の寒暖差が生み出した傑作品であり、その環境に適した品種改良が行われてきた結果と言うことができます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕