そこが知りたい57 発達障害児の割合の変化

発達障害は自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3タイプに大きく分けられています。

学習や生活の面で特別な教育的支援を必要とする児童生徒数について、文部科学省が2022年に実施した『通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査』の結果では、小中学生の約8.8%程度の割合で通常の学級に在籍している可能性を示しています。

この約8.8%の発達障害児以外に「何らかの困難を有していると教員が捉えている児童生徒がいる」と注意を促しています。

さらに調査によると、発達障害の可能性がある児童生徒のうち、校内委員会で特別な教育的支援が必要だと判断されたのは18.4%と5人に1人にも満たない状態です。しかも、発達障害の可能性のある児童生徒のうち、38.6%が「いずれの支援も受けていない」という結果になっています。

10年前の同様の調査では6.5%との結果であったので、随分と増えていることがわかります。この8.8%という割合は、小学生と中学生の平均であって、区分けして見てみると小学生が10.4%、中学生が5.6%となっています。

高校生では2.2%であるので、年齢を重ねると割合が減っていく、つまり状態がよくなっているようにも思われがちです。

しかし、あくまで教師の判断であって、自分の状態に慣れていくこと、うまく周囲と付き合っていく能力が高まることで実態が見えにくくなっているのです。

発達障害の特性は生涯にわたって継続するという特徴があります。

発達障害の男女差をみると、文部科学省の調査では男女比は2.4:1の割合と、男子が女子の2.4倍にもなっています。海外の調査では男女比は4:1とされるデータもあり、男性の発症が多いとされるアメリカでは4.5:1との報告があります。

国内の報告でも、注意欠陥・多動性障害は4〜9:1、自閉症スペクトラム障害は3:1とのデータがあげられています。

国内の調査の男子が女子の2.4倍という結果から、発達障害児が10%と推定すると男子で発見されているのは14.0%、女子では5.8%となり、単純計算ではあるものの、発達障害児の割合では7:3で男子が多いということになります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕