「酢豚にパイナップルを入れたのは日本人」ということは当たり前のように言い伝えられていることで、その発祥の店は東京・原宿の南国酒家ということはメディア情報でも当たり前のように言われていました。
これは間違いであって、発祥とされる店で直接聞いたことです。
酢豚にパイナップルを入れたのは、欧米の影響が強い香港や上海の店で、当時は高級品だったパイナップルを、やはり高級だった酢豚に加えたのが始まりというのが真相として伝えられています。
酢豚と書いてきたものの、酢豚というのは日本で名付けられたもので、中国の広東料理では古老肉と呼ばれていて、味付けの甘酢味は同様です。
南国酒家は発祥の店ではないものの、1961年の開業のときに、注目を集める売り物として高級食材のパイナップルを日本で初めて酢豚に使ったのは事実です。
しかし、いつも同じことを聞かれるので、世界初ではなくて日本初だということを説明することが面倒になったのか拒否もしなくなったということで、メディアでは今も発祥の店として紹介されています。
パイナップルを加えるのは、彩りのバランス、甘酸っぱい味が食欲をそそることがあげられます。それと同時に、生のパイナップルには、たんぱく質を分解する酵素であるブロメラインが含まれています。
豚肉を加熱する前に生のパイナップルと触れることによって、肉が軟らかくなっていきます。店によっては豚肉を加熱してから生のパイナップルを加えているところもあれば、生ではないパイナップル(加熱で酵素が壊れている)を使っている店もあって、せっかくの効果が活かされていない残念な酢豚が提供されていることもあるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕