「ナポリタン」はナポリ風を意味する言葉で、“風”(ふう)がついているということは、本来のものではないということを示しています。ナポリタンの名称は、ナポリ風を意味するフランス語のnapolitainからきています。
ナポリ風であればナポリタンと呼んでも違和感がないことになりますが、イタリア南部の ナポリ市には、私たちが知っているパスタ料理のナポリタンは存在していません。
ナポリタンはスパゲッティに具材を加えてトマトケチャップで炒めた料理で、横浜のニューグランドホテルのレストランで考案されたと伝えられています。
そもそもイタリアではパスタ(スパゲッティ)にトマトを使うことはあっても、トマトケチャップを使うことはありません。
基本となる料理が海外にあって、日本でアレンジされたものは洋食なのか和食なのかという議論があります。少しくらいのアレンジ(酢豚にパイナップルを入れるくらい)なら、これは和食ではなくて本来の国の料理の範疇にしてもよいのですが、調理法が異なるところまで進むと、これは和食(日本料理)と呼んでもおかしくないことになります。
この伝でいくと、オムライスも日本料理で、オムレツとライスを組み合わせたものです。オムレツはフランス語(omelette)、ライスは英語(rice)なので和製外来語ということになります。
オムライスのライスは、チキンライスで、これもトマトケチャップで味付けされています。この形の料理は海外にはないので(今は日本人の影響で提供されるところはあるものの)、日本発祥の日本料理といえます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕