そこが知りたい71 身長を伸ばすのは肉食なのか

身長を伸ばすためには、たんぱく質とカルシウムが多く含まれる牛乳が有効とされますが、それよりも効果があるのは肉食だという話が広まっています。

その根拠とされているのは時代による日本人の平均身長で、肉食が極端に少なかった江戸時代は歴史上で最も身長が低かったというデータがあります。

江戸時代の平均身長は、男性が155〜158cm、女性が143〜146cmで、縄文時代よりも低くなっていました。江戸時代は紙に書かれた記録があるのですが、文字で示されない古い時代の身長は発掘された大腿骨の長さからの推定値です。

身長が低かった理由として、当時は仏教の影響もあって肉食が禁じられてきたことがあげられています。まったく食べていなかったわけではなくて、建前ではあったものの獣肉類が禁忌(タブー)とされていました。

中でも徳川綱吉の治世の「生類憐みの令」が禁忌のピークでしたが、薬食いといって滋養のために獣肉類、武家や貴族が牛肉を食べていたという歴史が残されています。当時は食用の家畜を育てる習慣はなかったので、野生の鹿や猪(いのしし)、兎(うさぎ)などが食べられていました。

後に家畜の中でも鶏肉は禁忌の対象にはならなくて、卵を産まなくなった鶏が食用の対象となりました。鳥は「羽」(わ)で数えられますが、兎も同じく「羽」です。兎は2本脚で立つことから鳥の仲間とみなしていた、味が鶏肉に似ているという理由もあげられています。

たんぱく質は筋肉やホルモンの材料で、人間は動物の仲間なので、身長を伸ばす効果があるとされているものの、いまだに確証は得られていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕