粉ミルクというと世代や生活環境によってイメージするものが少し違っています。一般に想像されるのは赤ちゃん用の粉ミルクですが、年齢が高めの世代には学校給食で飲んでいた脱脂粉乳を思い浮かべる人もいます。
脱脂粉乳は、その名のとおり牛乳から脂肪分を抜いたあとに水分も抜いて粉状にしたもので、スキムミルクとも呼ばれます。スキムミルクのほうが馴染みがある人も多いはずです。スキムミルクは本来は液状のものを指していますが、日本では粉乳を指す言葉として広まっています。
牛乳は栄養豊富ではあるものの脂肪が多いのでエネルギー過多になることもあるのですが、脱脂粉乳は脂肪が少ないことから摂取エネルギー量は水溶きの量で半分ほどとなっています。たんぱく質とカルシウムはほぼ同量で、ビタミンA、ビタミンB₂なども豊富に含まれています。
赤ちゃん用の粉ミルクの正式名称は乳児用調製粉乳で、0〜1歳用と、満1歳以降用があります。森永乳業を例にあげると0〜1歳用は「はぐくみ」、満1歳以降用は「すこやか」です。このうちサプリメント代わりとして活用されることが多いのは0〜1歳用の乳児用調製粉乳です。
生後1歳までの乳児は、粉ミルクだけを飲んでいても成長できるように、すべての栄養素が含まれ、そのバランスも整えられています。無農薬、無添加ということも安心材料です。初乳に多いラクトフェリンも加えられ、腸内細菌の善玉菌の代表であるビフィズス菌を増やす作用があるオリゴ糖も含まれています。母乳の成分に近づけるということで、緑黄色野菜に含まれるカロテン、脳の成長を助ける脂肪酸のDHAやアラキドン酸も母乳の範囲の量が含まれています。不足しているのは食物繊維くらいです。
問題点は、乳糖分解酵素が減ってきている成人では、赤ちゃんと同じ分量を飲むと軟便や下痢になる人がいることです。その場合は量を減らすか、大人が飲むために開発された粉ミルクを選ぶようにします。これは成人で不足しやすい栄養素を考えてバランス調整されているので、これなら安心してサプリメント代わりにも使えます。ただし、価格的には乳児用のほうが安く手に入ります。






