健康関連の仕事を選ぶようになったのは、たまたま近くに医療関係者がいたことも影響しているのですが、その人脈を引き寄せようと思ったのは、自分の遺伝的な不安もあったからです。
父親の家系は糖尿病体質で、今のように成人の5人に1人が糖尿病か糖尿病予備群という時代ではなかったときに、糖尿病家系と指摘されるほど親戚縁者には糖尿病の人が多くいました。終戦後に始まった調査では糖尿病患者は今の100分の1ほどでしかありませんでした。今では糖尿病は、何も太った人がなる疾患ではないということがわかっていますが、当時は太ってもいないのに、どうしてだ?と周囲から言われたものです。もともと父の実家が米屋で、戦争当時でも食べるものに不自由はなかった、ということとは関係がないようです。
母親の家系は高血圧体質で、今のように男性の60%、女性の43%が高血圧という時代ではなかったのですが、高血圧については以前から塩分の摂りすぎが原因と言われていたこともあって、子どものときから薄味の食事でした。そのおかげで、微妙な味わいの違いがわかる味覚を身につけることができました。
母親も祖母も祖父も高血圧で、父親も祖母も祖父も糖尿病でした。両方の体質が遺伝しないようにという親の努力が実際に通じるかどうかは、親元を離れてからの食生活が重要です。遺伝のことを意識して生活をしてきて、学生時代は図書館で高血圧と糖尿病の知識を得ていました。社会人になってからも医師や栄養士などの専門家の近くにいて勉強しながら仕事をしてきました。
そのおかげもあって、高血圧にも糖尿病にもならずに高齢者の年齢であっても元気に暮らすことができています。弟も同じ環境にあったはずですが、私のようにはならなかったということで、遺伝よりも生活ということを今さらながら感じて、講演などの話題の一つにもしています。
高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)は血管に影響する疾患で、エネルギーコントロールがうまくいかずに太ると発症しやすくなり、発症後の状態も悪化しやすくなります。新型コロナウイルス感染症でも感染率は重症度が高いことが話題となっていました。つまり、太りすぎないようにすることは免疫にも関係するということで、これらもひっくるめてメディカルダイエット研究のテーマにしています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)






