学びの伴歩12 発達障害の実態

発達障害は自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3タイプに大きく分けられています。

少子化が大きく進んでいる中、発現率が同様であれば発達障害がある子どもは減っていってもよいはずです。しかし、発達障害は増え続けています。発現数の確認は、発達障害者支援法が施行された2004年から積極的に実施されるようになりました。

この法律に基づいて文部科学省が『通常の学級に存在する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査』を実施して、発達障害児の割合を発表したのは2012年のことでした。

その割合は小学校と中学校の通常学級に通う子どものうち、担任が発達障害であろうと推定した子どもの割合は約6.5%でした。

それから10年を経て、学習や生活の面で特別な教育的支援を必要とする児童生徒数について、文部科学省が2022年に実施した『通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査』の結果では、約8.8%が通常の学級に在籍している可能性が示されています。

この約8.8%の発達障害児以外に「何らかの困難を有していると教員が捉えている児童生徒がいる」と注意を促しています。

さらに調査によると、発達障害の可能性がある児童生徒のうち、校内委員会で特別な教育的支援が必要だと判断されたのは18.4%と5人に1人にも満たない状態です。しかも、発達障害の可能性のある児童生徒のうち、38.6%が「いずれの支援も受けていない」という結果になっています。

早期発見が充分でないこともあり、実際に発達障害児は10%に達していると推定されています。海外の複数の調査では発達障害児の割合は14〜19%にもなっています。

発達障害の男女差をみると、文部科学省の調査では男女比は2.4:1の割合と、男子が女子の2.4倍にもなっています。海外の調査では男女比は4:1とされるデータもあり、男性の発症が多いとされるアメリカでは4.5:1との報告があります。

国内の報告でも、注意欠陥・多動性障害は4〜9:1、自閉症スペクトラム障害は3:1とのデータがあげられています。

国内の調査の男子が女子の2.4倍という結果から、発達障害児が10%と推定すると男子で発見されているのは14.0%、女子では5.8%となり、単純計算ではあるものの、発達障害児の割合では7:3で男子が多いということになります。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕