学びの伴歩29 瞬発力と持久力

瞬発力と持久力は一般には走るときに必要と考えられています。学びの伴歩で、この2つを題として取り上げたのは、本来なら異なる機能の両方が学びの場では必要になると考えるからです。

走る場合には瞬発力で主に働くのは白筋(速筋)で、短時間に大きな力を発揮できるものの、長く走り続けるには向いていません。持久力で主に働くのは赤筋(遅筋)で、大きな力は出せないものの、長く働き続けることができます。

白筋は早く走ることによって強化できる筋肉で、赤筋は長く走ることによって強化できる筋肉という違いがあります。両方をバランスよく強化できたら、短距離走の走り方で長く走り続けることができるところですが、それを望むのは無理ということです。

学校教育は長距離走ではあるとしても、一気に進まなければならない時期もあり、ときどき短距離走をしなければならない、持久力と瞬発力の両方が求められることがあります。これは受験というゴールが待ち構えているからです。

それに対して生涯教育となると、どこにゴールがあるかわからないことがあり、そもそもゴールがあるのか、それもわからないという場合もあります。早く目的地点に到達すればよいということではなく、同じ速度で走ればよいということでもありません。

共通のスピードが求められる学校教育とは違って、スピードも違えば、どこまで進むのかもわからない生涯教育では、伴走ではなくて伴歩が重要であり、一緒に歩く人にスピードを合わせるのは思ったよりも大変なことです。

これまでの伴歩の経験も通じにくい人もいて、それぞれの人に合わせた伴歩の方法、つまり教え方と寄り添い方が必要になってきます。これに対応するには、教えながら学ぶという姿勢が必要で、姿勢というよりも、ずっと学び続けないと希望に沿うことができないということにもなります。

このときにも持久力と瞬発力の切り替えが必要になることもあって、そのバランスが伴歩の難しいところです。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕