親が子どもに対して言ってはいけない“悪魔の言葉”と呼ばれるものがあります。これは親子の関係だけではなくて、立場が異なる、いわゆる上下関係がある間柄でも聞かれることがあります。
学びの世界でも悪魔の言葉は以前から認識されていて、「やる気をなくす悪魔の言葉、やる気を起こす魔法の言葉」という対比でも使われています。
教える側が習う側に対して使っているわけですが、その代表的なものとされているのが「あなたのため」です。
受け入れられないような指示、受け入れてよいのか悩むような指示であっても、「あなたのため」と言われると反論できなくなってしまうことがあります。
あなたのことを思って親切に、親身になって言っていると言われたら、その人のことを疑うような関係でなければ、受け入れるしかない、というのが普通の感覚です。
しかし、疑ってかかるなら、本当に「あなたのため」と思って言っているのか、それとも言っている本人のためなのか、そこがわからなくなります。
「あなたのため」という言葉は、実は悪魔の言葉でもあり、また魔法の言葉でもあります。
悪魔の言葉というのは、実際には“あなた”のことを思っての発言ではなくて、ただ従わせるために発しているという意味となります。
また、魔法の言葉というのは、その言葉さえ口にしていれば、他のことを考えることなく従ってくれるという便利であり、まるで魔法をかけられたようになるという意味です。
こういった話を学びの場で、「伴歩」として寄り添っていく立場の人に対して、今の発言は正しいのか、受け手に余計な負荷をかけていないか、振り返ってみることの大切さを伝えるときに例として出させてもらっています。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕






