学習支援49 授業中に顔を背けるのには理由がある

他人の話を聞くときに顔を見ない、むしろ顔を背けるという子どもがいます。これはコミュニケーション力や発達障害の特性が関係していることが多いのですが、これを理解するために筆者(日本メディカルダイエット支援機構理事長の小林正人)の経験を書かせてもらいます。筆者の小学校時代の話で、そのときには発達障害という概念もない時代だったので、今のように改善のための支援が受けられず、改善の機会が失われたまま発達障害の困難さを抱えて生活することが少なくありませんでした。それは成人になっても続いていました。
同級生で、学習に身が入っていないわけでもないのに、集中して先生の言うことを聞くようにと注意ばかりされている男児がいました。今の時代なら、生徒の身体的な特徴は教師にしっかりと伝えられて、それを配慮した授業が行われるのは当たり前ですが、その当たり前がなかった時代のことです。
その同級生は集中しようとすると、正面から教師を見るのではなくて、横を向きます。その理由は片方の耳の聞こえがよくないことで、周囲に雑音があると聞こえなくなるので、できるだけ集音をしようとして耳を教師に向けた結果が、顔を背ける結果となっていました。
そのことを教師が知ったのは、保護者から理由を聞いたことで、それまでには何回も叱られた後でしたが、そういった事情がある子どもが存在していることを身近で知ったことが、後々の発達障害児の支援に力を注ぐことにつながっていきました。
同級生は耳に聞こえがよくないことは気づいていて、遊ぶときにも注意をしていました。そのことを教師に本人以外が伝えるということは、教師が怒っているときには言いにくい雰囲気があり、授業が終わってからクラスの代表が勇気を持って伝えに行くということもしにくい時代だったのですが、今は違うはず、と思って、子どもたちの学習環境を整えることに取り組んでいます。