テレビ業界の仕事に本格的に乗り出したのは1995年のことで、当時のメディアは健康ブームの真っ只中であったので、健康情報を扱ってきた立場としては、これに乗るのは普通の流れといった感じでした。
1995年の出来事というと、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が「あれから30年」ということで、今年(2025年)は報道が続いていますが、もう一つ大きな出来事がありました。
それは沖縄のアメリカ海兵隊の兵士3人が12歳の少女を拉致して集団強姦した事件をきっかけとして、日米地位協定の運用改善が合意された年です。
日米地位協定の正式名称は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」です。
これまでにも沖縄の基地への住民感情は厳しいものがありましたが、その後は少しでも駐留している部隊が不祥事などを起こすと、基地の存続への是非が問われるようになりました。そのたびに基地の必要性を感じさせるようなメディア情報が流されるということが起こりました。
日本は地政学的にみると中国、ロシア、北朝鮮が極めて近くにあり、中国と台湾の問題などもあって、非常に政治的に不安定(危険)な位置にあることは事実です。その事実も平時には忘れてしまうことから、注意をしたほうがいいというムードづくりをするテレビの仕事が飛び込んできました。
そのムードづくりの資金は、基地の土地の地主が国から受け取っている年額の1%くらいです。基地が存続することで利益を得られるのが基地地主であり、これがメディア対策費として使われたわけですが、平時には流すべきことがありません。
それで始まったのが情報番組の一部を買い取っておいて、観光シーズンには観光に特化した内容で、それ以外のときには沖縄の音楽、沖縄出身のミュージシャンも取り上げるということをしてきました。
そして、何かことが起こったときには、いつでも基地は必要だという番組に切り替えるということが始まったきっかけの年が1995年、私が40歳のときでした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕