わかりにくい話をするときには、身近に感じていることを例としてあげることは通常のテクニックとして使われています。わかりにくいと感じることは、想像しにくいことが多くて、それが身近なことであったら想像しやすくなり、それが伝えたいことの理解につながっていくという考え方です。
発達障害という外見からはわかりにくく、しかも脳の機能が関係することであるので、その該当者が「すべての子どもの10人に1人」との事実を伝えても、なかなか理解してもらえないことがあります。
発達障害の数的な実態ではなくて、どのような困難さを実際に抱えているのか、それに対する解決策は何か、その解決策にどの程度アプローチされているのか、ということになると、さらに理解を求めるのは難しくなっています。
そこで話をさせてもらっているのは、“規格外野菜”のことです。
規格外野菜というと、以前のイメージは大きさ、重さ、形、色などが定められた規格から外れた野菜のことで、大きすぎる、小さすぎる、形がいびつ、色が一定でない(色が薄い、色あせている)、傷がある、といった特徴が見られるものでした。
“でした”と書いたのは、品質には問題がなくて食べることができるのに、周りと違っているということで市場に流通していなかった規格外野菜が、今は市場に出回るようになってきたからです。
出回るようになった理由としては、不作や肥料の高騰、人件費の上昇などによって野菜の値段が大きく上昇したことが一つにはあげられます。
大根の葉はカットされるか、少しだけ残して販売されていたものが、価格高騰のために、なんと大根の葉だけがパック入りで販売されるということが初めて起こりました。それも大手スーパーでの出来事でした。
出回るようになった他の理由としては、SDGsの浸透や廃棄量が多いことへの社会問題への関心の高まりもあり、さらに規格外の野菜はおいしいものという事実も徐々に広まってきたことがあげられます。
農林水産省の調査によると、野菜の収穫量に対する出荷量の割合は約85%で、収穫した野菜の約15%が流通に乗っていないと報告されています。これが規格外野菜ではありません。
この数字は収穫量にカウントされているものの出荷されていない量であって、初めから収穫されていない野菜を含めると生産された野菜の約30%が廃棄されているという実態があります。
かつては、農林水産省が「野菜の全国標準規格」を設けていて、これが規格外野菜を増やしているという批判があり、2002年に廃止されました。それ以降は各地域の出荷団体などが自主的に規格を設けてきたものの、まだまだ規格に合わないものは弾かれる風潮は続いています。
これは、お題の「規格外は“もったいない”」と関連して、実際に伝えたいことである発達障害の特性がある人が規格外として扱われていないかという次回(日々修行256)の話に続きます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕