人手不足、働き方改革という言葉を使えば、なんでも許されるような雰囲気が徐々に広まっていて、以前であれば宅配便は早ければ遠方であっても翌日に届いていたところが、翌々日は当たり前のようになっています。
注文したものが届けられるまでに日数がかかるというのは、身近なことであっても生活に困る、健康に大きな影響を与えるということではないのですが、今から15年後を考えると、今の不便さは振り返ってみたときには大したことがなかったように思えてしまうことになってしまいます。
その一つの例が、厚生労働省が発表した労働人口の偏りの予測で、2040年には全労働人口の20%が医療と福祉・介護で働かないと日本のシステムが立ち行かなくなると考えられています。
この予測が出されたときには、まだ海外の労働者が今ほど減っていない時期で、円安も進んでいなかったので、まだまだ国内全体の海外からの働き手が期待できているときでした。
病院は治療をするところから、今では最期を迎える場所にもなっていて、全死亡者のうち医療機関で亡くなる人の割合は約65%にもなっています。
自宅で最期を迎えたい、という望む人は内閣府の調査では55歳以上の半数を超えているものの、実際には17%ほどとなっています。
1976年に、自宅で亡くなる人と医療機関で亡くなる人の数が逆転して以来、医療機関で治療を受けていて、そのまま亡くなる人は増え続けています。
亡くなる人が増えていても、医療機関のベッド数が増えているわけではなくて、1週間の長さも変わっていません。となると、病院で休みの日(土日、祝日など)に亡くなる人は増えていてもおかしくはないのですが、休みの日に亡くなる人は平日に比べると少なくなっています。
亡くなる人の話の前に、少しだけ生まれる人の数について触れておくと、休みの日に生まれる数は少なくなっています。これは医療機関の職員の数が少ないときには、その前後の平日に生まれるように調整しているということは以前から言われてきたことです。
それに対して、亡くなる人はというと、まさか休みの前に“調整”するようなことはないとは思うのですが、休日を終えて平日になったときに亡くなる人が多いのは事実です。これは延命措置のおかげなのか、それとも別の理由があるのか。
そういったことまで考えないといけない時代になったのは、それだけ慢性疾患で病院に入院して、回復しないまま最期を迎える人が増えているということです。
慢性疾患で入院したら、もう先がないというようなことがないように、何かできることがないのかと、ずっと考えてきたのですが、今もって結論らしいことは出せずにいます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






