日々修行267 火葬場の今を考える

葬儀業界の今を考えるという前回(日々修行266)の話の最後は、民営の火葬場の料金が値上がりをしているという話題でした。これは人手不足や燃料費高騰の影響ということではなくて、誰かの意図があってのことと考えられています。

家族葬や小さなお葬式が広まる中にあって葬儀料金が下がっている一方で、大都市部では火葬料金が上がっていて、全体的には高くなっている、という事実があります。

全国の火葬場の約97%を占める公営の火葬場の料金は、自治体の住民なら1万円、それ以外は4万〜5万円という一定の相場があります。

これに対して東京23区内の火葬場の料金は、公営火葬場は4万〜8万円となっていて、東京都民なら6万円で済むのが相場といえます。

これに対して民営火葬場は8万〜16万円で、2024年6月には下(最も低価格)の料金が9万円に値上げされたところもあります。

それなら公営を選べばよいではないか、と普通に考えるところですが、東京23区にある公営火葬場は2か所だけで、7か所が民営火葬場です。23区の人口は約985万人なので2か所では少なすぎます。

7か所の民営火葬場のうち6か所は同じ経営で、これに加えて休憩室使用料が3万円ほどかかります。公営火葬場では、休憩室は無料がほとんどです。

6か所の運営会社は明治20年の創業で、過去の実績から民営での営業が認めてこられたところがあります。

この会社は、印刷や出版などを手掛ける会社に運営権が移りました。その会社の出版部門とは長く付き合ってきたので、その後の変遷を聞いてきました。それは2019年のことで、秋葉原の有名な家電量販店を免税店に業態転換させた中国資本が入り、2020年には火葬場運営会社を完全子会社にしました。

中国資本になってから、火葬料金は上がり続けました。

火葬場の運営会社は葬祭事業を行う会社と業務提携して合弁会社を設立して、火葬場を有するオールインワンの葬儀会社が始まりました。公営火葬場は安いものの相当に順番待ちとさせられることから、民営火葬場が選ばれることが多くなってきたところに、民営火葬場と葬祭がセットになった形で、さらに料金が上がっていくことになります。

それでは葬儀のほうを家族葬にすることを考えるところですが、その火葬場の運営会社は有名な家族葬を扱う会社の関東のコールセンターを下請けしています。こうなると、選択肢が狭くなってしまうということで、東京では適正な価格で(安く)葬祭と火葬をするのが難しい時代になっているのです。

地方で、そのようなことにならないようにするために何をすればよいのか、それは私たちのブレインストーミング(Brainstorming)の題材となっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕