長寿遺伝子の研究について前に書いたときに、加齢の転換点の話は先送りにしていました。
人間と動物では寿命は根本的に異なっているので、単純には比較することはできないのですが、平均寿命が同じだったと想定して、人間に当てはめて比較した実験成果があります。それによると、加齢の転換点がほぼ同じという結果が出ています。
それは44歳と60歳です。この年齢はWHO(世界保健機関)の世界全体の平均寿命(2023年)に基づいたもので、男性は70.8歳、女性は75.9歳と発表されています。男性で推計すると44歳から約27年、60歳から約11年の期間があることになります。
その転換点から先は大きな変化はなくて、徐々に体力と気力が失われていくということになりそうですが、日本人だけは違っています。日本人の場合には、70歳も転換点の年齢としてあげられています。
日本人の平均寿命(2023年)は、男性が81.09歳、女性が87.14歳となっています。男性の60歳は平均寿命よりも21年も手前で、そこからの期間に転換点がないことは考えられません。女性の場合は、27年もの期間があります。
これは平均寿命をもとにして計算しているわけですが、もう一つ健康寿命という指標があり、それは平均寿命よりも男性は約9年間、女性は約11年間も短くなっています。その期間は自由に動き回ることができずに、介護や医療の世話になることが想定される年齢ということです。
その健康寿命から考えると、男性の場合には72歳で平均的には自由に動けなくなることになります。女性の場合は76歳ということで、となれば70歳になって老化が大きく進む転換点に、新たなことを起こそうとしても、わずかな年数しか残されていないことになります。
では、日本人の高齢者の多くが、そんな悲しい状態になっているのかというと、日本老年学会と日本老年医学会の調査研究によって、20年前に比べて10歳以上若返っているという研究成果が発表されています。
これを、そのまま計算に加えると、男性は12年、女性は16年もの期間が残されていることになります。あくまで平均であっても、これは希望が持てる年数です。
ここまで書いてきて、70歳の自分の場合は、どうなのかというと、身体的に若さは年齢相応に保たれていれば、好きなことができるのか、社会に役立つことができるのかというと、こればかりは“身体と相談”する必要があります。
私が1982年からワープロ、93年からパソコンで文章を作成してきていて、書くことが仕事であり、自分を証明する手立てでした。これまでは書きすぎ、打ちすぎのことがあっても、これまではパーツの傷みによる痛みで済んでいました。
座りっぱなしの生活で腰が椎間板ヘルニアになり、その後は右手首と左指の痛みがあって、テーピングをすれば文章作成はできるという状態が続いてきました。ところが、70歳になってからは左手首にも右指にも痛みが出るようになり、さらに両膝、両足首にも痛みが出るようになりました。
今は首にも痛みも強く感じるようになっていて、これは中学2年生のときに空手の試合で首にキック(蹴り)を受けて、頸椎の椎間板がつぶれたことが神経を圧迫していて、全身の痛みに影響を与えているというのが、ほとんどの専門医の診断でした。
私の場合には、老化の転換点の70歳が、あまりに理論どおりに経験することになってしまったということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕