日々修行283 関係人口が増えるだけでよいのか

広報活動の基本は、いかに数多くの人に知ってもらうかが重要で、かつては「下手な鉄砲も数撃てば当たる」という諺(ことわざ)のままに、ただただ時間と金をかけて当たり続けてきたという例がありました。

下手な人がやっても何度も繰り返していると偶然にうまくいくことがあるということから、まさに“的外れ”のタマを撃ち続けてきた例も数多く見てきました。

的外れは論外だとしても、方向さえ間違っていなければ、的を狙うのが下手でも、場合によっては的を狙って撃たなくても数多く撃ってさえいれば当たることもあったのも事実です。しかし、これは“まぐれ当たり”であって、褒められたものではなかったことです。

広告代理店の場合には、手数料の世界であるだけに、数多く撃つことを優先させて、その中で結果が出ればよいと言われることもありました。これは、ただ多くの目に触れればよい、問い合わせが増えればよい、初めて購入してくれる(来てくれる)人が増えれば、これを成果として評価してよいという時代がありました。

しかし、これは広告などが届いて、少し成果がみられた程度の結果であって、成功と呼べるものではありません。ところが、「下手な鉄砲も数撃てば当たる」を言い続けて、「物事は根気よく行えば成功する」と信じて疑わない人は今も少なくありません。

この“信じて疑わない人”は地方創生の活動の中では今も見かけます。見かけるというよりも“ほとんど”と呼んでよいくらい大多数を占めている例があります。

「知ってもらい、来てもらい、体験してもらい、リピートしてもらい、関係人口になってもらう」というのは、“伝統的キャッチフレーズ”と呼びたいくらいです。

このキャッチフレーズは「関係人口を増やす」というお題目で多く使われています。関係人口は特定の地域に継続的に多様な形で関わる人のことで、「観光以上移住未満」とも呼ばれています。

移住する定住人口でも、観光で訪れる交流人口でもない、地域づくりに貢献できる人材が関係人口ですが、これが今も上手に使われているところがあります。

私が地方創生で全国各地を訪れたのは、今から15年前から10年ほど前のことで、それ以前に東京から訪れていた31道府県が46道府県になったのは、地方創生のおかげでした。

私が経験した広報活動が活かされて、地方の特徴が学べる機会であり、的確なアドバイスによって関係人口を増やす機会でした。

しかし、それぞれの問題点を的確に指摘しないまま、ずるずると付き合っている人がいて、これは初めて地方創生で訪れた四国の瀬戸内海側の県から、最後に訪れた同じく瀬戸内海側の中国地方の県でも、程度の差こそあれ感じ続けていたことでした。

そのときから態度を変えることなく同じことを言い続けているのは、広告代理店と旅行代理店、その方々と付き合うことによって、何らかの利益が得られる地元の方々です。

この状態の改善を目指して今、経験から提案しているのは「新旧のメディアの使い分け」です。

このことについては次回(日々修行284)に続きます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕