日々修行284 新旧メディアの使い分け

広報のターゲットは新旧のメディアで、新はネットメディア(インターネット、SNSなど)、テレビが代表的なものであり、旧は新聞、雑誌、ラジオが代表的です。

新たなメディアは拡散力が強くて、より多くの人に伝える効果は強くても、詳細を伝えにくいところがあります。旧メディアの中でも文字情報は一気に進める拡散力は弱くても、読み込んで印象に残す、購入につながりやすいという強みがあります。

その両方の特徴を持ったものがネットメディアという期待はされていたのですが、まだまだ期待どおりにはなっていないのが実情です。

単発の情報発信では、どこまでいっても限界があるので、メディアミックスが使われるのは25年前から変わっていません。特性の異なる複数のメディアを組みわせることによって、各メディア間の補完と相乗効果によって認知度を高めて、販売やサービス提供につながる方法ですが、何を組み合わせるか、どう組み合わせるかで結果が違ってきます。

私が直接的に仕掛けた食品の広報では、最終目標はテレビ番組であって、その後にネットメディアで拡散していくという手法でしたが、テレビ番組で取り上げてもらうためには順番があります。

これは食品と健康効果という限られた内容ではあるものの、どんなに小さくてもよいので新聞の記事として掲載されるのが第一関門です。雑誌の編集者や記者などは新聞記事をもとにして企画を立てています。雑誌の記事を見て、テレビ番組の企画が立てられています。

テレビ番組の企画が、すべて雑誌に頼っているわけではないものの、私が得意としていた食品と健康を絡めた企画は、全国キー局では外部のディレクターや制作代理店が多く持ち込んでいることを知っていたので、企画会議に持ち込めるような雑誌記事になるように仕掛けていました。

雑誌記事は、あくまで参考資料、企画の裏付けであって、その裏付けの“裏付け”となる資料は別に用意していました。その別の資料は初めから、つまり新聞記事にしてもらうときから一部に使っていて、キーワードづくりが「新聞→雑誌→テレビ」で一貫するようにするのが番組で放送されるための重要なポイントでした。

このような手間がかかる方法は、今ではほとんどといってよいくらい使われなくなっています。それは大手広告代理店だけでなく中堅の代理店でも同じことで、そのようなことになったのは、専門のネットメディアが広報活動をするようになったからです。

以前は紙のリリースを各メディアに郵送していたことを、ネット上にアップすると、各メディアに送ってくれるサービスが主流になっています。

私が手掛けていた全国の新聞、雑誌、ラジオ、テレビの各メディアにリリースを郵送すると、送り先だけでも300か所を超えていました。また、メディアによってリリースの内容や参考資料を変えるということもしていました。

このようなことをしなくても、それと同様の結果、それ以上の結果を出せていれば問題はないのですが、そのようなことにはなっていません。地方に生んでいて、古希になった私に広報の相談がある理由は、そこにあるようです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕