テレビ番組のレポーターの質が以前に比べると大きく下がった、ということは、業界関係者からも視聴者からも聞かれることです。視聴者から聞かれるのは、放送局側の策がバレているということですが、以前であればバレない工夫は必須でした。
その工夫をしても気づかれてしまうことがあり、それを発見して指摘すると有り難がられることもあれば、それが仕事の一部になることもありました。ところが、今ではレポーターと呼べないようなレポートする人が増えてきました。
「そんなの誰でもできるじゃないか」と指摘されるようなシーンばかりになっていると感じる理由は、レポートしているのがADになっているからです。AD(Assistant Director)は、ディレクターの下に位置していて、テレビ業界では補佐業務(雑用係)として何でもさせられる立場といえます。
レポート番組では、カメラリハーサルで台本に沿ってレポートをして、それでOKならレポーターやアナウンサーにバトンタッチをするというのが通常の形です。ADがレポーターを務めるのは、仕方がない状況のときだけで、リハーサルどおりに本番をこなすということです。
リハーサルどおりに話すだけなら、本職のレポーターやアナウンサーでなくてもよいではないか、そもそも言葉を駆使する(話す)プロが伝える内容かということは以前から言われてきたことです。
伝え方が上手くないということだけが気になっているのではなくて、ADの妙な表現、妙な言葉を広める元凶になっているということが言いたくて、そのような話をしています。
ADが“ジャーナリスト”の肩書きでレポートをするのは民放の日曜朝のワイドショーが画期的な手法(?)として始めたことで、これはMC(進行役)がお笑いコンビということで“お遊び感覚”でした。
ところが、経費節減なのかADのレポートが増えてきてから、怪しい言葉づかいをする例も増えてきて、言い間違いの連発になっています。
日本メディカルダイエット支援機構のホームページの最新情報では、「言い間違い」の連載をしていて、言葉づかいは気にしています。言葉と意味が合っていないと感じることがあって、付き合いがあるディレクター(D)に聞いてみました。
そして、台本の一部を見せてもらったら、これはADのせいなのか、間違った台本を見逃しているDのせいなのか、わからなくなってしまいました。
言葉(音読)は合っていても書き文字が間違っている例のようなもので、ADのお仕事なのかDのお仕事なのか、考える機会になればとの思いで特に気になったことを記すことにしました。
「普段の努力」は間違い(×)で、正しい(○)のは「不断の努力」です。
「危機迫る」× 「鬼気迫る」○
「喝を入れる」× 「活を入れる」○
最後の「喝を入れる」は、スポーツコーナーで「喝」のシールを貼る情報番組をやっている全国キー局の台本で見つけました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕