「自給率」というキーワードを打ち込むと、検索サイトの多くでは「食料自給率」がトップに出てきます。それに次ぐのは「米の自給率」で、これには“令和の米騒動”が影響しているようです。
日本の食料自給率は38%という数字が一人歩きしていますが、これはカロリーベースであって、生産額ベースでは61%というのが最新データ(2023年調査)です。
カロリーベースは国民1人当たりの1日に摂取するカロリー(熱量)のうち国産品が占める割合を指しています。生産額ベースは国内で生産された食料の金額が国民に供給される食料の金額の中で、どれくらいかを指しています。
すべてが国内で作られていれば“自給率100%”となるわけで、日本の代表的な食料品の米は99%です。野菜も国内で作られているものはほとんどというのが一般の認識で、野菜はカロリーベースで79%とされています。
これは間違ってはいないものの、見方を変えると日本で栽培されている野菜が、本当に日本のものだとは言えなくなってきます。
そのようなことを書くのは、若いときに種苗業界の業界紙の取材をさせてもらった経験があるからで、それは桃太郎トマトが登場した時期でした。
半分が赤くて半分が青い(緑色)トマトが見られなくなって、それと同じ状態であっても全体がピンク色というトマトが売り場を占めるようになったタイミングです。
そのときは新品種の野菜が相次いで登場した時期で、ほうれん草がサラダで食べられるようになり、アク抜きがいらないというような画期的なことが業界で次々と起こりました。
食べやすい、形がよい、色がよい、育てやすい、収量が多い、種が少ない(もしくは種がない)という売りやすく、食べやすい野菜で、これはF1種(一代雑種)というタイプとなります。
F1種は異なる品種を交配して新たな品種を作り出す品種改良法で、狙いどおりの品種を作り出すことはできても、自家採種ができないというデメリットがあります。野菜は種を残して、これを使って栽培を拡大させるという方法があるわけですが、その自家採種は望めません。
ということは、毎年、種を買わないと野菜が育てられないという種苗業界にとっては“素晴らしい発明”ということができます。
日本国内で野菜栽培に使われている種は、国産というイメージがあるかもしれませんが、その割合は徐々に増えていって、今では野菜の種の90%は輸入されていて、国内産は10%ほどでしかありません。
どうして、そのようなことになったのか、それによって何が起こっているのかということは次回(日々修行302)に続きます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕