日々修行306 出生数と死亡数が逆転したとき

厚生労働省が2024年の年間出生数を発表したときに、今までにない驚きの数字がありました。それは68万6061人と初めて70万人を下回ったことです。

これがメディアで取り上げられたときには、出生数の年次推移表が使われていて、確かにピークから比べると、ずっと減り続けていました。ピークは終戦後のベビーブームで数多く誕生した団塊の世代の時代(1947年〜1949年)には、この間に約806万人が誕生しています。

この団塊の世代は、2025年のうちには全員が75歳以上の後期高齢者になります。2025年は超高齢社会の第2段階であり、もう歯止めが効かない、後に振り返ってみたら「とんでもない年だった」と記憶されることになりかねないのです。

出生数が200万人を下回ったのは1975年のことで、そこから2016年に100万人、2019年に90万人、2022年に80万人となりました。急激な低下ではあるものの、70万人を下回るのは2038年のことだと考えられていました。

それが2024年に69万人を下回り、ここから先の減少の予測がつかない状況となってしまいました。

メディア報道は、ここで終わっていることが多いのですが、年間死亡数のほうは別に報道されることがあり、出生数と死亡数を比較して、今後を考えるという報道は、まだ目にしていません。

年間死亡数は1990年に80万人、1995年に90万人、2003年に100万人、2022年に156万人となりました。そして、2040年には168万人を超えると予測されています。

減り続ける一方の出生数と、増え続ける死亡数が、どこかでクロスした時期はあったわけで、その翌年にはメディア報道があってもよかったわけです。

出生数と死亡数が逆転したのは2007年のことで、出生数は108万9818人、死亡数は110万8334人でした。

わざと報道しなかったのか、それとも他に伝えるべきことがあったのかということが考えられるところですが、2007年というと参議院選挙で自民党が歴史的敗北をして安倍首相が辞任して、政治的混乱が始まった年です。2009年には民主党政権が成立したので、世間が慌ただしかったのは事実です。

個人的には2007年は中越沖地震が発生した年で、私の出身地の新潟県柏崎市が大被害を受けました。私の実家は建物によっては全壊もあって、被害状況がメディア向きだったのか、実家の崩れた場所の前から連日、テレビ中継がありました。

東京に住んでいた私は、テレビ報道で安否確認をしていたような状況で、2007年は出生数と死亡数が逆転したことを知っていても、そのことを広く伝えるような余裕はありませんでした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕