日々修行311 “逆”の発想 その2

「逆の発想」のお題で、自由に文章作成ができなくなったという前回(日々修行310)の話に続いて、発想を完全に転換させることを考えて、実践できるように進めています。

“自由に文章作成ができなくなった”といっても、どこかからプレッシャーがかかって書きたくても書けなくなっている、ということではなくて、両手の動きが不自由になったという物理的(医学的)な話です。

“両手の動きが不自由”といっても、まったく動かないとか、手を失ってしまったのと同じというような状態ではなくて、どんなに痛みや痺れが生じていても日常生活はこなすことができます。

できなくなったこととしては、今のところはテーピングをしても箸が持てない、スプーンは使いにくくても何とか食べ物を口の中に入れることはできる、ペンは持てるものの稚拙な文字しか書けない(お役所で書き直しを求められる程度)、印鑑が押せない(押せても力加減で全部が印影されない)といったことです。

このような状態で、人(他人)のために何かをしようとしても、断られる、有り難迷惑(ありがためいわく)と思われることが多くて、以前から私が講習などの閑話(余談)として口にしてきた「小さな親切、大きなお世話」となりかねません。

ちなみに(まさに余談ですが)、この「小さな親切、大きなお世話」は、お笑いコンビのツービートのビートたけし(北野武)が初めて使ったように言われていますが、ギャグ漫画『天才バカボン』のおまわりさん(本官さん)の交番の張り紙にあった言葉で、漫画家の赤塚不二夫さんの発案です。

赤塚さんに直接聞くことはかなわなかったのですが、関係者から聞いたところでは「小さなお世話、大きなお世話」から発想を得たということです。

小さな親切のつもりで行ったことが大きなお世話にならないようにするために、これまで口にしてきた「世のため、人のため、自分のため」という言葉を逆転させて使おうかと思っています。

この言葉は私のオリジナルではなくて、松下電器産業(現パナソニック)の創業者の松下幸之助さんの言葉を少しだけ変えたものです。

「世のため、人のためになり、ひいては自分のためになるということをやったら、必ず成就する」という松下経営哲学の根幹を表しています。この根幹の発想は、松下さんのゴーストライターを務める中で、何回か使ってきました。

自己の利益だけでなく、他者の幸福を追求することが、結果的に自己の成功にもつながるという考えで、これをもじって「“世のため、人のため”に続いて“自分のため”を2回言う」という使い方をしていました。

それを逆転させて、これからは「自分のため、人のため、世のため」をモットーとしていきます。私自身が自分のためにならないこと、無理をしたことで、他人に対して親切にしても、それは“大きなお世話”だったということになりかねません。

もう一つ逆の発想ができないかと考えていることがあります。それは「もったいない、ありがたい」というキーワードで、それを「ありがたい、もったいない」に逆転させて、「自分のため、人のため、世のため」を実現させられないか、ということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕