日々修行312 「ありがたい、もったいない」

「世のため、人のため、自分のため」を逆転させた「自分のため、人のため、世のため」について前回(日々修行311)書かせてもらい、最後に「もったいない、ありがたい」を逆転させた「ありがたい、もったいない」の実現について触れました。

「人のため」というフレーズは「世のため、人のため」よりも「情けは人の為ならず」のほうが知られているようです。

「情けは人の為ならず」は、情け(温情)を他人にかけることは、その人(他人)の為だけではない、いずれは巡りめぐって自分に恩恵が返ってくるのだから誰にも親切にすることが大切である、という意味合いで使われています。

中には勘違いをしている人も少なからずいて、「情けを他人にかけるのは、その人のためにならないから、やめておくべき」という意味で使っていることもあります。

これは、まだ解釈としては程度がよいほうで、極端な人になると「人と為を合体させると“偽”になる」「人の為とは言わないほうがよい」と発言することもあります。

こういった声があることを承知しているので、あえて「人のため」の先に「自分のため」を使っているという天邪鬼(あまのじゃく)の発言をしています。

今回のお題の「ありがたい、もったいない」の元ネタとしているのは、岡山に本社がある有名な金属リサイクル会社の社風を表した“もったいない”を“ありがたい”に進化させるという意味の「もったいない、ありがたい」です。

リサイクルを通じて資源を創出するだけでなく、それを可能にする社員の存在にも感謝するという意味が込められています。

岡山では「MOTTAINAI」「ARIGATAI」はHIRAKINのロゴとして、よく目にしています。

「もったいない」と「ありがたい」は、どちらも日本人が大切にしてきた価値観を表す言葉です。「もったいない」は無駄にすることを惜しむ気持ち、資源や機会などを大切にする気持ちを表しています。

「ありがたい」は感謝の気持ちを表す言葉ですが、漢字では“有り難い”と書かれるように、滅多にないこと(有り難い)に対して感謝する気持ちを強く表しています。

ここで私自身のことを書かせてもらうと、岡山に移住して目的とした仕事がなくなり、その後は私を活かせる人との巡り合いがないことに対して「もったいない」との言葉が何度もありました。

もったいないので、なんとかして私の仕事を作って、岡山に居続けてもらえるようにしたい、という声は、それこそ何人からも受けました。しかし、実際に仕事を作ってくれたのは2人でした。

それを受けて、東京人脈に相談したら東京にUターン移住するなら、ということで驚くような(良い意味での)仕事が複数出てきました。しかし、古希ということを考えると二の足を踏むことばかりでした。

そして今、私のような者が岡山に居てくれるのが「ありがたい」、それを活かせないのは「もったいない」という発想で、新たな展開を示してくれる方々と出会うことができました。

それも、私が腕(腕前ではなくて物理的な手と指)を自由に使うことができなくても、一緒にチームとして動くことでこなせる新たな仕事であるので、頭を働かせることができる間は、話ができる間は、自分のためであり、周りの人のためであり、そして地域のためである仕事をできるという展開です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕