『地方創生2.0基本構想』が2025年6月13日に閣議決定され、これに基づいた「高齢者向けシェアハウス」が注目されています。その注目の理由は、新たな制度の必要性が高まり、これから現実化のための方策が次々と出てくることが期待されていることです。
これまで高齢者支援を実施しようとしても、さまざまな規制があり、たった一つがクリアできなかったために実現が不可能ということがあったのも事実です。それを改善する規制緩和が行われると当時に、新たな交付金、補助金なども増えていくことが期待されています。
「高齢者向けシェアハウス」が期待されるのは、人口減少と高齢者の増加が、もう“待ったなし”のところまで来ていることが大きな要因としてあげられます。
2022年の国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、50年後には、日本の総人口は現在の7割まで減少して(1億2615万人→8700万人)、65歳以上の人口が約4割(35.3%〜42.0%)を占めると発表されています。
前期高齢者(65〜74歳)の数を後期高齢者(75歳以上)が上回ったのは2018年のことです。2025年は団塊の世代の全員が75歳以上となり、高齢化率の高まり以上に、高齢者へのケアの充実が求められる時代となっています。
2024年の国立社会保障・人口問題研究所の調査では、50歳の時の未婚割合は男性で28.25%、女性で17.81%となっています。
さらに、2040年には全世帯の43.5%が単身世帯になると予測されています。
この数値は増加傾向にあり、65歳以上の一人暮らしの「シングル高齢者」は2025年には14.2%ですが、2040年には18.6%、2050年には20.6%となることが予測されています。
シングル高齢者は、「知らぬまに認知症が発症・進行する」「社会からの孤立」「生活意欲の低下」「詐欺などの犯罪に狙われやすい」「孤独死」など、さまざまなリスクがあることが指摘されています。
こうした背景を受けて、期待されているのが「高齢者向けシェアハウス」です。これは複数の高齢者が共同生活をする住宅のことで、すでに全国各地に相次いでオープンしています。
このような新展開が求められるのは、労働人口の減少、中でも介護人材の減少が、あまりにも進んでいるからです。「老老介護」というと、家庭内で高齢者の子どもが親の介護をすることを指していた時代がありますが、今では高齢者支援施設内での「老老介護の時代」となっています。
しかも、介護する人が介護される人よりも年齢が高いということさえ起こっています。この傾向は進むことはあっても、戻ることはないと考えられています。
国立社会保障・人口問題研究所の調査で、15〜64歳の人口は2020年には約7509万人でした。これが2025年には約7170万人となり、2040年には約5978万人になると予測されています。
2040年には、2020年に比べると約1531万人の減少、2025年に比べると約1192万人の減少ということです。これを見ると、1100万人の減少ではなくて、それよりも92万人も多い(減少する)わけです。
1192万人という数字を2020年の7509万人と比較すると、約15.87%の減少率となります。
2040年の状況については厚生労働省の「厚生労働白書」にも触れられていて、この段階では全労働人口の20%が医療と福祉・介護で働かないと国が立ち行かなくなることが説明されています。
2040年の労働人口が約5978万人ということは、その20%は約1196万人となる計算であるので、減少した労働人口と同じくらいの人が医療と福祉・介護にあたるということになります。
高齢者ケアの“セカンドステージ”は、近い将来の話ではなくて、すでに突入しているのです。だからこそ高齢者向けシェアハウスが期待されているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕