広告代理店の手数料は20%というのが大原則です。もともとは広告料金の20%が、広告主とメディア(新聞、雑誌、テレビなど)を結びつけた代理店の取り分ということでしたが、今では広告以外のことも取り分は20%となっています。
代理店の手助けをした場合には、20%のうち“幾ばくか”が私のギャラということで、実際に私が結びつけることをして、テレビ番組で予定通りに放送されるまでを担っても、ギャラが大きく増やされることは経験できていません。
依頼主としては充分な支払いをしているつもりなのに、結果が伴わないと思われるようなこともあり、それを最終的に仕事をした私が指摘されたこともあり、苦情を受けたこともありました。
そんなときに、「私が受けた金額は……」と実際のことを言いたい気持ちはあったものの、そんなことを言ったら仕事が回ってこなくなるということで、グッと我慢をしていました。
どう我慢したのかというと、初めに依頼された代理店が20%の手数料を取って80%の金額で次の代理店(2次代理店)に出して、それを3次代理店に出すと20%が引かれて、初めの金額の64%になります。
3次代理店も20%を取っているので、私のところに回ってくるときには約51%になってしまいます。これが専門の代理店に回すということならわからないではないものの、同じ代理店のグループ内で2次、3次と下請けに出すこともあります。
それでも仕事を受ける身の辛さということで、飲まざるを得ないこともあります。
「なぜ、そんな金額で、こんなに大変な仕事を受けるのか」と私に依頼してきた会社に話したら、「あなたならできることだから」と煽られて、仕方なく割に合わない仕事をしたことも片手では数えられないほどありました。
そのようなことを経験したこともあって、余計な代理店が入らない直接の依頼の仕事として手掛けたのが、この連載コラムでも何度か出てきている納豆、豆腐、豆乳の業界団体からの直接依頼の全国広報でした。
ここまでは業界内のことで、今も蔓延(はびこ)っている悪しき慣習の話ですが、中抜きされた手数料は、どこに流れて行ったのかというと、大手の広告代理店の稼ぎになっただけではありません。
一つは代理店に仕事を出しているところへのキックバックに使われていて、もともとの金額が大きければ、その分だけ戻す金額も大きくなっていきます。
中には、私が経験してきた「予算にない仕事」の手当てにも使われてきました。「予算がない仕事」というのは、100万円が必要なのに50万円しか出ない、というときに使われる言葉です。
これに対して「予算にない仕事」は、予算項目にないので出したくても出せない仕事のことで、仕事をした霞が関のお役所から出ることはないものの、他を経由して回ってくるということがありました。
つなぎをした、その基礎的な作業をしたというだけでも、重要なところには、それなりの金額が回ってきました。そのおかげで、東京にいたときには、しっかりと食べていられたのですが、それが期待できない岡山では苦労の連続でした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕