日々修行353 常識を押しつけない発想

天下取りの三英傑である織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人の武将の性格の違いを表すために引き合いに出されるのはホトトギス(時鳥)です。

信長が「鳴かぬなら殺してしまえ時鳥」と句を詠んだのに対して、秀吉は「鳴かぬなら泣かせてみせよう時鳥」と詠み、家康は「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥」と詠んだと伝えられています。

実際に読んだのか、それとも後の作なのかは別にして、信長が結果をすぐに求める短気な性格、秀吉が策略を弄してでも結果を出そうとする性格、家康が忍耐強く時を待つ性格という、実にわかりやすい分け方をしています。

その性格の象徴がホトトギスというわけですが、このことを例に話をしようと考えていて、直前になって止めたことがあります。

私は、岡山では発達障害児のサポートする5つの法人(NPO法人、一般社団法人)の設立・運営に関わってきました。これ以外にも、私が代表の2つのNPO法人(日本メディカルダイエット支援機構、セカンドステージ連盟)は活動の一部として発達障害児の支援を行っています。

「鳴かぬなら」という言葉の後に続く3つの句は、鳴くのが当然という発想があってのことで、鳴かないことを前提にはしていません。

発達障害の特性がある子どもに対して、周囲が期待することを、期待どおりに求めることは常識としてはあってはいけないと考えます。そのことは発達障害児の支援施設の運営者や職員・スタッフもわかっているはずで、そのようなことを口にしています。

ところが、実際に対応を見ていると、行動や結果に対して“改善”を求める、時には押し付けるということがあります。無意識のうちにやっている人もいて、本人としては“よいこと”をしているつもりでも、子どもたちに負担をかけ続けていることも実際にあります。

そのようなことを感じたときには、ズバリの指摘をするのではなく、考えさせるようなフレーズを繰り出しています。

今回の話は「鳴かぬなら」と「時鳥」なので、その間に入る言葉として使っているのは「そういう種類の」です。

「鳴かぬなら、そういう種類のホトトギス」は、ネットでも登場するようになってきていますが、“読み人知らず”とされています。

相手の性格や行動を認めて、受け入れることであって、決して諦めや開き直りの気持ちではありません。元ネタは明らかではなくても、今後も続けて使いたいフレーズです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕