パチンコで食べていたとき、よく耳にしていた言葉を、今回のお題「自分の金を預けているだけ」にしました。このことを書く前に、一つだけ説明しておきたいのは“パチンコで食べていた”というのは自分がギャンブルをしていたわけでないということです。
「パチンコで食べている」と作家仲間やライター仲間に揶揄されることがあった期間は、東京・原宿に住んでいて、文教地区であったためにパチンコ店がなくて、取材先として訪れていたのは店舗ではなくて本社や東京営業所でした。
パチンコ業界と知り合ったのは、漫画雑誌の1ページで攻略法を書くためで、これはパチンコ業界の都合(新台が出る前に旧台の攻略が始まっている)に合わせた戦略の一端に関わったことでした。
パチンコ業界では、パチンコ攻略雑誌は敵という感覚でしたが、いくら“モグラ叩き”をしてもキリがないという感覚があって、業界の意向に沿った攻略情報を出すことができないかという話が持ち上がりました。
そのタイミングで、漫画雑誌の攻略法を目にした出版社の編集局長から連絡があって、業界の意向を伝えました。それは1988年のことで、その攻略雑誌は今もトップを走っています。創刊から6号までは、私が攻略法を書いていました。
その編集局長の紹介で、日刊のスポーツ紙にパチンコ攻略法を書くことになり、これは1年近く続きました。機種による攻略法ではなくて、単純に釘の読み方(見方)についてだけでしたが、これはパチンコ台が次々と進化を遂げていく中で大きな変化がないこともあって、長く書かせてもらうことになりました。
こういった攻略法が知られるようになるにつれて、「自分の金を預けているだけ」と言い出す人が増えていって、ギャンブル依存症対策の会議で取り上げられるようにもなりました。
今のオンカジ(オンラインカジノ)に比べたら影響は微々たるものという感じですが、パチンコはリアルなもので、攻略法が通じるものであるので、預けてある金(これまでに負けた分)を取り戻すことは可能で、そのためには店に通うことが大事との考え方をしているようです。
パチンコの還元率は80%ほどで、公営ギャンブルの75%に比べたら高めです。宝くじの45%に比べたら圧倒的に高いわけですが、パチンコ店は釘の調整で売り上げを変えられるので、預けている金を実際に取り戻すことができるのかは、運や店との相性にもかかっています。
パチンコ店ではなくて、パチンコ業界ということで見ていくと、儲かる仕組みに近い人だけが稼げるということで、今になって作家仲間などに言われるのは次のようなことです。
「あなたが一番儲かる仕組みに近かった」「それなのに稼がなかったのは、どうしてなのか」
それに対する返答は、「私が追い求めていた世界とは違っていた」「他に稼ぎたい人に任せて、その成功を遠くから見ていたかった」ということです。
実際は、どうだったかというと、成功したのは先に登場した編集局長と、攻略雑誌を使ってパチンカーをコントロールしていた業界だけでした。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕