日々邁進〔番外〕「吉備の穴海」を感じたとき

東京で暮らした44年の間に、全道府県に足を運んでいますが、移住の準備を除いても岡山には15回と最も多く訪れています。

初めての訪問は島根県(出雲地域)から岡山県の吉備地方までの文化財保存活動の研究ツアーでした。

開発ブームの中にあって、小さな山を取り壊した後に大規模な古墳であることがわかったという事例(わかっていて開発工事をしたのではないかと疑われること)が相次いでいて、見学するなら今しかないという切羽詰まった状況を感じてのことでした。

山を越え、吉備地方の平地に入ったら、この先には遺跡は限られたところにしか存在しないと聞いて、岡山は他の地域と違うということを感じました。また、岡山市と倉敷市の都市部は真っ平で、そちらのほうも印象に残りました。

移住した後に教えてもらったのは、真っ平であるのは江戸時代に吉備の穴海を埋め立てたからだということでした。その総面積は200k㎡以上と、琵琶湖の3分の1ほどの広さにもなります。

ずっと平らであることはウォーキングをしてみて実感はしていたものの、自分の目で全体的な景色を確かめることはできずにいました。

これまで吉備の穴海についても連載コラムの中で何回か書いてきていますが、自分の目で広さを確かめていないので、以前と同じ“目線”から離れられないまま、移住してから8年が過ぎようとしていました。

ところが、周りに高い建物が少ない吉備の穴海の中央部に近いマンションの15階から真っ平な土地を見る機会がいただけて、あまりの見晴らしのよさもあって、“目線を変える”という表現の別の意味に気づくことができました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕