相続放棄について前々回(業苦楽12)、前回(業苦楽13)で書きましたが、預金は多くはないけれど、遺された家があるので、これを売って被相続人(亡くなった人)の借金をチャラにしようと考えることは、よく聞くことです。
少子化が進み、継ぐべき家が余るような時代だけに、一人っ子同士の結婚では、一方の親の家に住み、もう一方の家は売るというのも、よくあることです。
そのようなときに押さえておかなければならないのは、購入金額を確認しておくことです。現在の住宅としての価値と価格だけで判断すると相続税で苦しむことになりかねません。
家の価格の変動は地域によって大きく異なりますが、購入時よりも価格が上昇していると、購入時の金額と今の段階で売った場合の金額を把握することが相続によってプラスになるかマイナスになるかの決定的な事項ともなります。
購入時の金額がわかっていて、それを証明する書面があれば、売った金額との差額の20%が相続税の対象となります。
ところが、購入時の金額がわからないと売った金額の5%が購入時の財産の金額とされてしまいます。
例えば、5000万円で売ったとすると5%は250万円なので、差額の4750万円が相続税の対象となります。
これが20%の場合には4000万円と、それほど大きな差には感じられないかもしれませんが、家を売った金額だけでなく、他に財産があると大きな相続税がかかることもあります。
法定相続人が配偶者だけなのか、配偶者がいなくて子どもだけの場合などによって相続税は違ってくるものの、しなくてもよい苦労をすることがないように、こういった知識は重要になります。
こういったトラブルも、親元に頻繁に通っていれば避けられたかもしれないのですが、結果として相続がトラブルの元になる例は少なくないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






