確信犯という用語は、間違った意味で捉えられていることが多く、用語の理解の違いによって人間関係の乱れや組織体制の崩壊にもつながりかねないと認識される要注意の用語です。
確信犯と聞くと、正しくないこと、よくないことだとわかっていながら行ってしまうことのように思ってしまいがちです。
そのように思って使っている人も多く、メディアも間違った使い方をしていることがあります。
しかし、これは間違った認識で、「正しいことだと確信して行う犯罪」が正解です。
文化庁の『国語に関する世論調査』でも、7割近くの人が間違った使い方をしていることが指摘されています。
よくないことだと思いながらの行動であれば、正論を説いていけば改善をすることも望まれるところですが、本来の意味の“確信犯”となると、何も間違ったことをしていないと本人は信じているので、諭して修正させるのは、なかなか厄介なことです。
その例としてあげられることが多いのは、組織運営におけるパワハラの感覚です。パワハラ(パワーハラスメント)は、地位や立場を利用して、適正な範囲を超えた言動や行為によって就業環境を悪化させることです。
“組織内虐待”と位置づけているところもあり、それを指摘して、改善を求めても、本人は正しいこと、間違っていないと信じ込んで行っているので、指摘に対して反発をしてきます。
それだけでなく、指摘したことが「パワハラだ」と反逆してくることもあって、上に立つ者、上との間に入って調整する者を悩ませることにもなります。
その本人にとっては、正しいことと信じるだけの考えがあって、そう考える根拠を求めても納得できるだけの返答が得られない場合が多いのです。その多くは、総論を言うだけで、具体的な各論には及んでいないという状態です。
その認識の違いを抱えたままの態度(自業)が、自分も相手も苦しませることになっているということに気づけないと、自業苦(じごく)は、いつまでも続きかねないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕