業苦楽29 量から質への転換の是非

別荘を手放して、文筆が中心の状態から他の道を広げていくという好結果につながったという前回(業苦楽28)の話を受けて、自分のことに置き換えて考えるというのは、ワークショップ型の研修の方法としても実施されることです。

自らが続けてきた自業苦(じごく)を経験したことから、これを業苦楽(ごくらく)にしていくためには、自業と結果を冷静に分析することが必要になります。

書くことが仕事であった人の場合には(私も含めて)、本当に書かないといけないのか、前と同じ状態で続けていてよいのかということを考えることから始まります。

身体の状態の変化に合わせて考えるときには、「書く量を減らして質が高められないのか」との発想が出てきます。「質が低いから量で勝負しようとしていないか」と言われることもあります。

本人としては質を高めたつもりであっても、それが社会的に評価されなかったら、質が高まったことにはならなくなります。かえって質が低下したと言われることがあるかもしれません。

質が高まった上に、さらに量も増えたら最もよいことと言われることもあるのですが、それが実現できるかどうかは、年齢的なことも関係してきます。私のように古希に達した立場では、質を高めて量を減らすのが精一杯です。

書かなくても書いたのと同じ(ような)結果にならないのか、書く量が減った分、伝える時間を増やせないのか、ということを考えるようにします。これまで書くことで関わってきた方々と新たな道を作り出していくことに切り替えていくことも、自業苦(じごく)を業苦楽(ごくらく)に変えていく手段であると伝えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕