発達の伴歩26 発達障害と栄養の関わり

発達障害の原因は何かということは、支援をする専門家も発達障害児の保護者も強い関心があることです。そして、私が発達障害と栄養の両方の研究を続けてきたことを知ると、発達障害に影響する栄養素についての質問が必ずといっていいほど投げかけられます。

その質問の内容は、さまざまではあるものの、「何が不足していたために起こったのか」ということと「何を食べれば改善できるか」というのが大半です。

それがわかっていれば苦労はしないのですが、「わからない」「まだ研究途中」という医学界の現状を言うことは避けるようにしています。

私の出身である臨床栄養の研究では、ある程度の原因も判明していて、改善するためのアプローチもわかってきています。それなのに断定的に言わないようにしているのは、治るようなことは発達障害では言ってはいけないことだと考えているからです。

それでは、改善するためには栄養バランスの取れた食事を地道に続けていくしかないのかというと、栄養摂取だけでは力が及ばないのも事実です。

発達障害の特性として、脳の神経伝達物質のセトロニンが不足していることがあげられています。セトロニンは体内で合成される神経伝達物質で、必須アミノ酸のトリプトファンから合成されています。

トリプトファンは、肉、魚、豆(特に納豆)、チーズ、そば、アーモンドなどに多く含まれています。これらの食品を食べればセロトニンが脳内で多く合成されるのではないかと考えられがちです。

そのようなことが書かれている書籍は数多くあるものの、そう簡単にいかないのが栄養機能の難しいところで、臨床栄養の世界にいた身としては、安易なことは絶対に言うことはできないことです。
〔発達の伴歩:小林正人〕