発達栄養14 代謝を支えるビタミンの役割

脂溶性ビタミンのビタミンAは脂肪酸と結合して肝臓や脂肪細胞などに蓄積され、必要に応じて全身の細胞に運ばれ、成長促進や粘膜維持などの作用を行います。ビタミンDは肝臓でコレステロールからも合成され、カルシウムの吸収を促進するほか全身の機能調整に関わっています。ビタミンKは血液凝固などに関与しています。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEには抗酸化作用があり、活性酸素を消去して細胞の老化を防ぐ働きをします。
糖質、脂質、たんぱく質がエネルギー源として代謝に使われるときには水溶性ビタミンが使われています。水溶性ビタミンは一つとして欠かすことができないので、その特徴と何を食べればよいのかを知っておくことが大切です。
ビオチンはビタミンHとも呼ばれるビタミンB群です。糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝に関わる補酵素で、皮膚や粘膜の健康維持に関わっています。腸内細菌によって作られて吸収されるうえ、魚、肉、卵、豆類、野菜などに含まれるため不足することはありません。パントテン酸はビタミンB₅とも呼ばれるビタミンB群で、補酵素のコエンザイムの構成成分であり、たんぱく質、脂質、糖質のエネルギー代謝の補助役として必須となります。皮膚や粘膜の健康維持に関わり、HDLコレステロール値の上昇、抗ストレス作用のある副腎皮質ホルモンや神経伝達物質の合成、免疫抗体の合成、解毒などの作用にも関与しています。食品では肝臓、肉類、魚介類に含まれますが、加熱や加工によって失われやすくなっています。
ビタミンCは皮膚や腱、軟骨などの結合組織を構成するコラーゲンの合成に欠かせず、皮膚や骨の健康維持、傷の修復に必要な水溶性ビタミンです。アスコルビン酸とも呼ばれます。腸管で鉄の吸収率を高め、抗ストレス作用がある副腎皮質ホルモンの合成を促進する作用があります。抗酸化作用によって過酸化脂質の合成の抑制、血管障害を予防する作用もあります。寒冷ストレスや喫煙などによって体内で減少します。食品では、野菜、果物に多く含まれます。