発達特性32 神経伝達のトランスポーター

神経細胞の間にはシナプス(隙間)があり、神経細胞の電気信号がシナプスに到達すると、手前の細胞の神経終末から神経伝達物質が放出され、これを次の受容体(レセプター)が受け取り、電気信号が発生します。

シナプスでは、神経伝達物質は神経終末から別の神経細胞の受容体に伝えられるときには、すべてが伝わらずに、シナプスに残されるものがあります。これを神経終末のトランスポーターが取り込んで、再び神経伝達に使われています。

ところが、発達障害の注意欠陥・多動性障害ではトランスポーターによる神経伝達物質の取り込みが強いために、シナプスを通過する神経伝達物質が多くトランスポーターに取り込まれていることが確認されています。

そのためにシナプスを通過する神経伝達物質が不足して、電気信号が正常に伝わらなくなっていることが考えられています。

神経伝達物質は、神経細胞の間で電気信号を伝達する脳内の化学物質で、100種類以上の神経伝達物質が確認されています。重要な神経伝達物質のセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリンは食事で摂った成分を材料に脳内で合成されています。

これらの神経伝達物質は運動時に安静時の1.2〜1.5倍も増え、脳内でも同様に増えていると考えられています。

〔セロトニン〕
抗うつ作用があることから抑うつ状態を改善させる作用があります。脳内ではアミノ酸のトリプトファンから合成されます。アミノ酸のトリプトファンには神経伝達物質のセロトニンを増やす作用があります。トリプトファンは肉、乳製品、卵、豆類などのたんぱく質が多い食品に含まれています。

〔ドーパミン〕
意欲や活力を向上させる脳内ホルモンで、アミノ酸のチロシンから合成されます。チロシンは乳製品、たらこ、ちりめんじゃこ、大豆、落花生、アーモンドなどに含まれます。

〔ノルアドレナリン〕
ストレスを感じたときに副腎皮質から分泌され、交感神経の情報伝達物質として放出されると交感神経の活動が高まります。アミノ酸のチロシンから合成されます。チロシンは乳製品、たらこ、ちりめんじゃこ、大豆、落花生、アーモンドなどに含まれます。

〔アセチルコリン〕
コリンから補酵素のアセチルコエンザイムAによって合成されます。脳で記憶を司る海馬の神経細胞新生促進があり、神経細胞が増えることによって記憶力を改善させる作用があります。コリンは卵黄、レバー、種子、豆類、芽キャベツ、ブロッコリーなどに含まれています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕