発達特性34 聴覚機能の理解

耳で捉えた音は空気の振動として耳の中の鼓膜を振動させて、その振動は耳小骨で増幅されて内耳の蝸牛に伝えられます。蝸牛(かぎゅう)は蝸牛(かたつむり)の殻の形をしていることから名づけられたもので、蝸牛では耳に入ってきた音が約20倍に増幅されています。

蝸牛で振動は電気信号に変換され、延髄と橋(きょう)の境から中脳、視床を経て、大脳皮質の聴覚野に送られ、音として認識されます。

音を聞くだけでなく、左右の耳が捉えた情報から音が発生した方向、音の強弱や時間差などから音が発生しているものの距離など認識しています。

人が話す言葉は聴覚野から言語野に送られ、言葉として認識されます。言語野は、前言語野、後言語野、上言語野の3つの領域に分けられています。

3つの言語野は神経でつながっていて、協調して言葉の機能が保たれています。3つの言語野は脳の左半球に存在しています。右利きの場合には95%以上が左半球にあるのに対して、左利きの場合には70%以上が右半球に存在していることが確認されています。

聴覚野で認識された音は、そのまま聞こえているわけではなくて、必要なものだけを選択して聞き分けられています。

通常では不要な音は素通りさせているのですが、発達障害の聴覚過敏では選択が的確に行うことができず、①すべての音が同じように聞こえている、②周囲には大きな音に聞こえないものも騒音に聞こえる、③複数の音の中から必要な音を聞き分けるのに困難な状態になる、といったことが起こっています。

〔前言語野〕
運動性言語野といい、運動性言語中枢が前頭葉にあって話す機能を司っています。

〔後言語野〕
感覚性言語野といい、視覚性言語中枢が後頭葉にあって文字の理解、書字の機能を司っています。また、側頭葉には聴覚性言語中枢があり、言葉で理解する機能を司っています。

〔上言語野〕
前言語野の機能を補助する働きがあります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕