発達特性35 嗅覚機能の理解

香りの物質は鼻腔の粘膜にある嗅細胞で捉えられ、電気信号に変換され、嗅神経を経て、大脳辺縁系に到達しています。

におい(匂い、臭い)を感じる部分は5㎠ほどで、この中に嗅細胞が2000万個から1億個が存在しているとされています。

大脳は人間的な思考や理性を司る大脳新皮質と、本能や情動、記憶などを司る大脳辺縁系に分けられます。大脳辺縁系は動物的な機能を担うもので、旧皮質とも呼ばれています。

視覚、聴覚、味覚などの情報は大脳新皮質に伝えられ、過去の記憶と照らし合わせた後に大脳辺縁系に伝えられています。これに対して、嗅覚は大脳辺縁系に直接伝えられています。

嗅覚の刺激は思考や理性を介さずに大脳辺縁系に伝えられることから、心地よい匂いと嫌いな臭いは過去の経験や記憶とは無関係に反応するという特徴があります。

嗅覚は非常に鋭く、不快なにおいには強く反応しますが、不快な臭いを軽減させる機能が大脳辺縁系には備わっています。

ところが、発達障害の嗅覚過敏では軽減させる機能が働きにくく、すべての臭いが大脳辺縁系に伝わることから困難さを抱えている場合も少なくないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕