発達特性37 記憶に関わる器官1

記憶は、脳に入力された情報を受け取る記銘、それを保つ保持、必要に応じて呼び出す想起の3段階を経て行われています。この3段階の記憶は海馬や大脳皮質で営まれています。

海馬は脳の奥にある大脳辺縁部の一部で、海馬(タツノオトシゴ)に形が似ていることから名づけられました。

脳の記憶や空間学習能力に関わる器官で、感覚器(目、耳、鼻など)から入ってきた情報は海馬で一時的に保管されますが、海馬に保管されなかった情報は記憶としては残らず、消去されます。

海馬は一時的な保存場所であり、海馬から大脳皮質に送られることによって記憶される。海馬に繰り返し情報が保存され、繰り返し大脳皮質に送られることによって重要な内容であることが認識されて、記憶として刻まれるようになります。

脳には記憶に関わる神経細胞が1000億個以上あるとされます。記憶は神経細胞と神経線維があり、新たに記憶をするときには神経細胞と神経線維がつながり、新たな神経回路が作られています。このことによって神経回路を通る神経信号が増え、記憶の受け取りや保存が行われるようになります。

全身を巡る血液のうち15%ほどは脳へと送られているのですが、海馬には大量の血液が必要であり、血流不足(虚血状態)になると海馬の機能が低下していきます。

また、全身で使われるエネルギー源のうち20%ほどは脳で使われています。通常では、そのすべてがブドウ糖となっています。ブドウ糖が含まれる糖質の不足は、脳機能に直接的に影響を与えることとなります。

ストレスによって発生するホルモンのコルチゾールによって海馬の神経細胞は傷つけられやすい特性があります。コルチゾールが多く分泌されるのは心理的ストレスが高まったときで、ストレスをためないことが記憶を保持するためには重要になります。

コルチゾールの分泌を抑えるのは脳内ホルモンのβエンドルフィンで、コルチゾールを抑えるだけでなく、海馬の記憶を高めることも知られています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕