糖尿病の倫理3 糖尿病の遺伝

「糖尿病の家系」と言われても、あまりピンと来ないようで、真剣に考えようとしない人は少なくありません。

それは診察室で、医師に言われた人の反応をみても同じで、その意味がわかっていなければ、“馬の耳に念仏”というか“蛙の面に水”というか“猫に小判”というべきか、真意が伝わらず、軽く受け流してしまうことにもなります。

このことは、後に病院栄養管理の研究所のメンバー(主任研究員)となって、糖尿病の研究に携わり、糖尿病の患者や予備群の方の対応をする中で強く感じたことではあります。

両親のどちらかが糖尿病だと子どもの発症率は約40%との報告があります。両親ともに糖尿病だと発症率は70%にもなり、しかも合併症が多くなるとの報告もあります。

ここでいう糖尿病は、生活習慣病とされるのは2型糖尿病を指しています。血糖値を降下させるホルモンのインスリンの分泌不足や、インスリンが分泌されていても効きが悪くなるものです。

これに対して、1型糖尿病は自己免疫疾患によってインスリンが作れなくなることから血糖値が大きく上昇するもので、インスリン注射が必須となります。子どものときから発症するのは、ほとんどが1型糖尿病です。

一般に糖尿病と呼ばれるのは2型糖尿病で、母親が2型糖尿病の場合には、子どもの2型糖尿病の発症率が高まることは、以前から言われてきました。

母親の食生活は子どもの食事の内容にも影響しやすく、その原因は遺伝よりも生活習慣と言われるものの、インスリンの分泌に影響する遺伝子があることは研究によって明らかにされています。

インスリンが充分に分泌されていても効きが悪くなることから血糖値が下がらないというインスリン抵抗性も遺伝因子であることが明らかにされています。

遺伝因子はあるものの、遺伝するのは糖尿病そのものではなくて、糖尿病になりやすい体質が遺伝するということです。

日本内分泌学会は、過去の疫学研究では2型糖尿病患者では子どもの発症率は2〜3倍、両親が2型糖尿病では子どもは3〜4倍の発症率と報告しています。

このようなことから、遺伝的要素がある人が、発症しやすい生活習慣をすることで糖尿病になるというのが、今のところの正しい認識とされています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕